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聴診器

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月報 「聴診器」 2008/ 3

月報 「聴診器」 2008/ 3/ 1

 

今年の冬は寒かったですね。雪も多かったようです。3月は平年よりも暖かいとの予想ですが、果たしてどうなることでしょう。寒い日が続きますね。そろそろインフルエンザが流行ってきそうですね。年末から引き続き感染性腸炎(俗に言う「嘔吐下痢」)もはやっているようです。お腹の調子が悪いかな?と思ったらお腹に優しい食事をするようにしてください。

 

8 高血圧⑫ 高血圧の検査

高血圧症の合併症の一つに動脈硬化があります。血管は血液を送る管で、水道管のように全身にくまなく広がっています。血管の壁にコレステロールなどが積もってくると、血管が硬くなったり、もろくなったりします。また、血管の壁が肥厚してきますので血管が詰まったりもします。動脈硬化が心臓の栄養血管(冠動脈)で起これば狭心症や心筋梗塞を起こします。脳の血管に動脈硬化が起これば、脳梗塞や脳血管性認知症を起こします。大動脈に動脈硬化が進むと動脈が腫れたり裂けたりする、大動脈瘤となります。この動脈硬化の進行は一方通行で、動脈硬化が進めば二度と正常な血管には戻りません。ただし、動脈硬化は特定の人に起こるわけではなく、人類すべてに起こります。いわば、血管の老化現象です。年とともに動脈硬化は進みますが、その進むスピードが人によって異なります。30代で血管がボロボロになっている人もいれば、90歳でも比較的若々しい血管を保っている人がいます。動脈硬化を進ませる要因には喫煙、糖尿病、コレステロール、遺伝などがありますが、高血圧も重要な要素の一つです。

動脈硬化の検査としては当院では二つの検査を行っています。一つは脈波測定です。手足の血圧と心電図を同時に測定することで、血管の硬さと血管のつまり具合を見ることが出来ます。血管の硬さはCAVIという指標であらわされます。一般に9以上で「硬い」と表現しますが、年齢との比較が大切です。血管の詰まり具合はABIという指標であらわされます。これは「足の血圧」割る「手の血圧」で求められます。普通は足の血圧のほうが手の血圧より高いので、ABIは1を超えます。しかし、下半身の血管が狭くなると足の血圧が低下し、ABIが下がります。ABIが0.8以下では下半身の血管が狭いと考えます。

もう一つは、頸部血管エコーです。超音波を使って、首の血管を画像で見る検査です。血管そのものを見ながら、血管の壁の厚さを測ります。0.8mm以上あれば、動脈硬化が進んでいると考えます。時々、血管の壁が小さな山のように盛り上がっていることもあります。これは、プラークと呼ばれ、動脈硬化がかなり進んだ結果です。プラークは繊維や白血球の死骸、脂質などで出来ています。油分の多いプラークは破れやすく、破れるとそこで血液が固まって脳梗塞の原因となります。プラークのある症例では、厳格に血圧やコレステロールを下げる必要があります。あまりにプラークが大きすぎて、血管が詰まりそうな場合には、脳外科で手術をする場合もあります。

8 高血圧⑬ 二次性高血圧

高血圧症の原因のほとんどは、本態性高血圧症とよばれる体質的なものです。これに対しては、特別な治療はなく、減塩と降圧薬が治療の中心となります。一方、二次性高血圧症と呼ばれる病態があります。体質性以外の原因、腎臓病や腫瘍によって血圧が高くなる病態です。代表的なものを少し説明します。

  • 腎動脈狭窄症:腎臓は左右にある臓器で、腹部大動脈から腎動脈を通って血液が流れ込んでいます。この血液を濾過して尿にしています。腎動脈が動脈硬化などの原因で狭窄すると腎臓に流れる血液の量が減ってしまいます。腎臓の血流が悪化すれば、腎臓は血圧を上げるホルモンを多量に放出する機能を持っていますので、結果的に血圧が上がります。この、腎動脈狭窄症による高血圧は、心臓や腎臓にかかる負担が大きく、予後が悪いといわれます。エコーやCTで診断を行います。治療は足から入れた細い管を使ってできるようになって来ました。
  • 原発性アルドステロン症:腎臓の上には副腎という小さな臓器がついています。小さな臓器ですが、様々なホルモンを分泌しているとても大切な臓器です。分泌しているホルモンのひとつにアルドステロンというものがあります。アルドステロンは、腎臓に作用して塩分の再吸収を促すなどの作用で、血圧を上げます。原発性アルドステロン症は、副腎に腫瘍ができ、この腫瘍がアルドステロンを多量に分泌する病気です。このため、血圧が高くなります。病気の特徴としてはカリウムが低くなることが知られていますが、最近ではカリウム値があまり低くならないタイプも多いことが分かってきました。治療は手術で副腎の腫瘍をとることになります。
  • 褐色細胞腫:これも副腎の腫瘍です。副腎が分泌しているホルモンのうちに、カテコールアミンと呼ばれるものがあります。褐色細胞腫は副腎にカテコールアミンを多量に放出する腫瘍ができる病気です。高血糖、高血圧の原因となり、突発的に血圧が上がることが知られています。治療はやはり手術です。

薬剤性高血圧:様々な薬で血圧が上がることが知られています。よくあるのが、漢方薬による高血圧です。漢方薬の多くには甘草というものが入っていますが、甘草にはグリチルリチンという物質が含まれています。グリチルリチンは、前述のアルドステロンと同じような作用を来たすため血圧が上がります。ただし、甘草による悦圧上昇は個人差が大きいようです。治療は原因薬剤の中止です。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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