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聴診器

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月報 「聴診器」 2010/08

月報 「聴診器」 2010/08/01

急に暑くなりましたね。朝から全力で蝉が鳴いていると、じっくり汗が出てきます。先日、昼間に1時間程度草刈りをしたら、頭痛がしてふらふらしました。日射病だったのかも知れません。皆さんも気をつけてください。

 

12 血管病変 ④ 大動脈炎、急性動脈閉塞

6月号の月報では「閉塞性動脈硬化症」について説明しました。動脈が動脈硬化により狭くなったり、つまったりする病気です。これと似た病気に「大動脈炎症候群」と「急性動脈閉塞症」があります。大動脈炎症候群とは名前の通り動脈に炎症が起きる疾患です。炎症結果、血管の壁が厚くなり内腔が狭窄します。また、血管の壁が弱くなり異常に拡張することもあります。動脈硬化症と異なり、比較的若い女性に好発します。この場合の「大動脈」は体の中心になる固有名詞の大動脈ではなく、「比較的大きめの動脈」といった程度の意味です。大動脈だけでなく、鎖骨下動脈や頸動脈などにも血管の炎症が起きます。血管の炎症が起きてもあまり症状は出ません。発熱が持続する場合もありますが、発熱以外に症状がなく原因不明の発熱として加療されている場合もあります。その後、次第に血管の形態的変化が起きてきて、さまざまな症状を呈します。鎖骨下動脈という腕に血液を送る血管がせまくなれば、脈が弱くなります。このため、本当は血圧が高いのに腕で血圧を測ると低くなる現象が見られます。さらに血管狭窄が進行し、鎖骨下動脈が詰まってしまうと触れなくなります。脳に血液を送る血管が狭くなるとめまいのなどの症状が出ます。腎臓の血管が狭くなると、血圧が高くなります。腎臓の血流が乏しくなると、腎臓から血圧を上げるホルモンが出るためです。炎症の結果、血管が拡張すれば動脈瘤ができます。炎症は血管だけでなく心臓の弁にも及びます。このため、大動脈弁閉鎖不全症という弁膜症を合併します。大動脈炎症候群は別名「脈なし病」や「高安病」と呼ばれます。炎症が起こっている時期には治療のために抗炎症剤を使用しますが、多くの場合は血管病変が進行してから診断がつきます。この場合は各々の血管病変に応じた治療を行うこととなります。

急性動脈閉塞症は、何らかの原因で血管の中に塊ができ、この塊が動脈に詰まる病気です。たとえば心房細動という不整脈があれば心臓の中で血液の塊ができます。これは血栓と呼ばれますが、この血栓が血流にのって運ばれ、足の動脈などに詰まります。血管が突然詰まりますので足が突然痛くなり、白くなっていきます。放っておけば足が壊死してしまいます。腎不全を合併して死に至る場合いもあります。脳や腎臓の血管も同じように詰まりますが、この場合は特別に心源性脳塞栓や腎梗塞と呼んでいます。骨折でも急性動脈塞栓が起こります。大きな骨折をした場合には骨の中の脂肪が動脈に流れることがあります。これは脂肪塞栓と呼ばれます。医療行為でも急性動脈塞栓が起きる可能性があります。カテーテル検査で造影剤を動脈に入れる際に誤って空気が入ってしまうと空気の泡が動脈に詰まります。空気はそのうち吸収されますが、一時的に臓器に血液がいかなくなります。このため、手技中は道具の中にいかに空気が入らないようにするか気を使います。なお、静脈に空気少量入った場合は肺で吸収されますのであまり大事にはなりません。多量の空気を入れた場合は肺動脈に空気が詰まって死に至る可能性があります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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