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聴診器

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月報 「聴診器」 2013/05

月報 「聴診器」 2013/0 5/01

先日のニュースで、「パワーヘルス」の販売会社が消費者庁に立ち入り検査を受けたと報じられていました。パワーヘルスは電位医療機器の一種で、体を高電位で包み込むことで治療効果を期待している機械です。一般に広く知られていますが、実際には健康には何の効果もありません。おまじないの一種です。しかし、「血液が綺麗になる」「がんが治る」「高血圧や糖尿病に治療効果がある」などと虚偽の説明をして販売したため、今回の摘発となったようです。

健康は人間の強い願望です。しかし、医学にできるとこはごくわずかしかありません。願望と医学にできることには大きな隔たりがあります。怪しい治療法はそこを狙って忍び込んできます。パワーヘルスだけではありません。ほかにも詐欺まがいの治療を勧められた話をよく聞きます。皆様もご注意ください。

 

16 不整脈2 ⑧危険な不整脈 心室細動

前回説明した心室頻拍に似た不整脈に心室細動があります。心室頻拍では非常に速い放電が心室で発生し、心室が異常に速い収縮を起こします。心室細動では放電がさらに速くなったり不規則になったりで、収縮自体をしなくなります。心室はぶるぶる震えるだけで有効な心拍出量はゼロになります。つまり、心停止と同じ状態になります。まれに、心室細動が自然停止をすることがありますが、多くは死に至ります。

心室細動の原因として多いのは、心筋梗塞などの基礎心疾患がある場合です。心室内の異常放電が心室頻拍を起こすと、心室筋がさらにダメージをうけ心室細動に移行します。特に急性心筋梗塞では心室細動による死亡が最も危惧されます。心筋梗塞以外にも拡張型心筋症や肥大型心筋症がその原因となり得ます。

明らかな基礎心疾患を持たない場合もあります。有名なのがブルガダ症候群です。1992年にホセ・ブルガダとペドロ・ブルガダの兄弟が突然死に関する論文を発表しました。心臓病の既往がないのにもかかわらず突然死をおこした症例の中に、特徴的な心電図変化を持っている人が多いとの報告でした。これは今では「ブルガダ症候群」とよばれ、突然死を起こす疾患として知られるようになりました。同じような病気はアジアでも見られ、日本での「ぽっくり病」やタイの「ライ・タイ」などはブルガダ症候群の類似疾患と考えられています。珍しい例では心臓振盪があります。スポーツなどで心臓に強い物理的ショックが加わると、タイミングによっては心室細動が起こることがあります。

心室細動が起これば高率に死に至ります。心室細動の治療は電気ショックしかありません。強力な直流電流を流して強制的に心拍をリセットする方法で、直流除細動と呼ばれます。薬は効きません。心室細動は心停止と同義なので、除細動ができるまでは心臓マッサージをして時間を稼ぐしかありません。また、予防に有効な薬もありません。心室細動が予想される患者さんには小型の自動除細動器を体内に植え込んでもらいます。予期できない心室細動、初回の心筋梗塞や心臓振盪にともなう心室細動については有効な予防手段はありません。そばにいる人ができるだけ早く心臓マッサージを開始し、できるだけ早くAED(自動型除細動器)を使用するのが一番良い方法です。もし、みなさんがその場に居合わせたら、是非救命のために手を出してください。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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