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月報 「聴診器」 2014/06

月報 「聴診器」 2014/06/01

今年の5月は、例年に比べてウイルス性腸炎が多かった気がします。6月になり温度湿度が上がってくると細菌性腸炎が増えてきます。衛生管理には十分気を付けてください。

18 生活習慣 ⑤アルコール

寿命を縮める生活習慣を解説しています。前回まではたばこのことを説明してきました。今回からはお酒の話です。「お酒を飲みますか?」と尋ねると「いいえ、お酒は飲みません」と答えた後に、「でも、ビールは毎晩飲みます。」と続ける方がいらっしゃいます。落語のようですが、医療機関で「お酒」といえば日本酒だけを指す言葉ではなく、アルコール飲料すべてを指すものと思ってください。

アルコールは炭化水素の最後が[-OH]で終わるものの総称です。様々な種類があり、くっつく炭素の少ないものを「低級アルコール」といい、炭素の多いものを「高級アルコール」といいます。飲料に使用されているのは低級アルコールのエタノールです。エタノールは糖を発酵して生成されます。古代から製造されており、各地でそれぞれの発展を遂げています。糖と菌があればよいので自然にエタノールが生成されることもあります。イチゴ大福の中でも微量なアルコールが作られているそうです。

体内に取り込まれたエタノールは主に二つの酵素で代謝されます。まずアルコール脱水素酵素でエタノールがアセトアルデヒドに変換され、アルデヒド脱水素酵素で酢酸に変換されます。アジア人にはこのアルデヒド脱水素酵素が先天的に弱い人が多いといわれています。日本人では45%が同酵素が欠落しているといわれ、10%がほとんどお酒が飲めない体質だそうです。飲酒を日々続けていると別の酵素(CYP450)が誘導され、酔いにくくなってきます。ただし、アルコールの害そのものを無くすわけではないので、体は蝕まれています。

アルコールは様々な問題を生み出します。酩酊時にはトラブルや事故の原因となり、社会に影響を与えます。特に飲酒運転は数々の痛ましい事故が起きているにも関わらず、根絶は難しい状況です。過度の飲酒による急性アルコール中毒による死亡事故も起きています。イスラム社会では飲酒の全面禁止に成功しましたが、アメリカでの禁酒の試みは失敗に終わっています。

アルコールは慢性的には様々な健康被害をもたらします。有名なのは肝臓ですね。飲酒の影響で脂肪肝になり、g-GTPが上昇することはたびたびあります。さらに、飲酒が進むとアルコール性肝炎から肝硬変になります。その後、肝細胞がんを発症したり、食道静脈瘤ができたりします。恐ろしいのは、アルコールには強力な依存性があることです。肝硬変になっても、肝細胞がんになっても、食道静脈瘤破裂してもアルコールをやめない患者さんもいました。何回も危険な状態になっては、救急病院に担ぎ込まれ処置を繰り返していました。そのたびに、涙を流しながら禁酒を誓うのですが、1か月もしないうちに飲酒をし、血を吐いていました。そのうち、救急病院では治療を拒否されてしまいました。別の患者さんはアルコール性肝硬変のため家族から飲酒を止められていました。お金を持たせてもらえなかったので、コンビニでお酒を万引きして逮捕されてしまいました。膵炎を起こすこともあります。あるアルコール依存症の患者さんは連続飲酒後、意識がなくなり総合病院に入院しました。急性膵炎の診断でしたが、入院後すぐに亡くなりました。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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