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月報 「聴診器」 2014/11

月報 「聴診器」 2014/11/01

10月は大きな台風が2回も来ましたね。幸い直撃はしませんでしたが、大変強い風が吹きました。大きな被害は出ませんでしたが、工事のフェンスが倒れ近隣の方々には大変ご迷惑をおかけしました。皆さんのほうでは被害はなかったでしょうか?

18 生活習慣 ⑨運動不足と病気 骨粗鬆症

前回は運動不足で心筋梗塞が増える話をしました。糖尿病、高血圧、高脂血症が悪化し、動脈硬化が進むためです。もちろん、全身の動脈硬化が進みますので、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症も増えます。そもそも、我々の体は原始人のころと変わっていません。体を動かすのが前提にできているわけですから、体を動かなさなければいろいろ不都合なことが出るのでしょうね。

運動不足は動脈硬化疾患以外にもいろんな病気を引き起こすことが知られています。骨粗鬆症は骨の中がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。骨は硬い構造物で、出来上がったら変化しないものと思われがちです。しかし、骨は日々新しく作られ、生成と破壊のバランスの上で形を維持しています。骨を作る働きと壊す働きのバランスが傾くと、骨は弱くなっていきます。骨の生成と破壊はホルモンの作用で決まりますので、加齢や更年期でホルモンバランスが変わると骨粗鬆症になりやすくなります。また、カルシウム不足、日光不足、内分泌疾患も骨粗鬆症を引き起こします。最近は、運動不足も骨粗鬆症の原因であることがわかってきました。骨は縦方向に負荷がかかると微量の電気が流れます。この刺激によって、骨は強さを増す反応をします。また、筋肉を鍛えることで骨が刺激され、骨密度が上がるそうです。そのため、スポーツ選手の骨密度は一般の人よりも高くなりことが知られています。なお、水泳選手では重力による負荷がかからないため、陸上選手ほど骨密度は増加しないそうです。逆に重力による負荷がない状態が続けば骨粗鬆症は進行します。例えば、いろいろな病気で寝たきりが続けば、筋力が衰え骨密度も低下します。宇宙飛行士はその極端な例です。無重力状態では骨に負荷がほとんどかかりませんので急速に骨量が減少します。地球上での骨粗鬆症の10倍の速さで、骨量の減少が進行するそうです。宇宙ステーションに滞在中は骨からカルシムが溶けだし、尿中カルシウムが増えるため尿路結石もできるそうです。この予防のため、最近では骨粗鬆症薬のビスホスホネートを使用しています。運動による骨粗鬆症の予防も早くから取り入れられていました。ダンベルなどの重量負荷はできませんので、ばねやゴムを利用した負荷装置で毎日運動をしているそうです。

骨粗鬆症では骨が弱くなるため骨折が増えますが、転倒自体が多いことも骨折が多い原因です。骨粗鬆症の方では筋力低下が見られます。あげたはずの足が思ったほど上がらずに段差につまずいたり、意図したほど力が出ないため十分には踏ん張れず転倒をしたりします。また、バランス能力も低下しているので、転び方が派手になり、大けがにつながりやすいといわれています。筋力が低下すると関節に無理な負担がかかり、関節症にもなりやすくなります。運動不足から体重が増えすぎると関節が挫滅し、変形性関節症を発症したりします。

こうした骨や筋力に低下と関節の障害を合わせて「ロコモティブシンドローム」と呼ばれることもあります。ロコモティブシンドロームは生活の質レベルを低下させ、健康寿命を縮める大きな原因といわれています。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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