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聴診器

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月報 「聴診器」 2015/04

月報 「聴診器」 2015/04/01

いよいよ心臓リハビリテーション施設が稼働しました。内覧会には多数の方に来ていただきありがとうございました。心臓リハビリテーション施設はJCHO九州病院の折口先生との出会が始まりでした。折口先生は心臓リハビリテーションの泰斗で、全国的にも有名な先生です。偶然にも宗像にお住まいで、親しくさせてもらっています。その折口先生から、地域で利用できる心臓リハビリテーション施設がほとんどなく、多くの患者さんがリハビリ難民になっている現状を教えていただきました。わたくしも微力ながら、地域社会に貢献し、社会をよりよくしたいと考え、施設を作ることを決心しました。

無事にスタートの日が迎えられたことに安堵しています。これも、日頃当院の活動を支えていただいた皆様のおかげと心から感謝しています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

19 心臓リハビリテーション ①これまでの心臓リハビリテーション

前回まで生活習慣について説明してきました。特に最後の方は生活習慣病に対する運動療法について説明をしました。、今回からは心臓リハビリテーションについて説明していきます。

そもそも「心臓リハビリテーション」は心筋梗塞を起こした患者さんが日常生活に復帰するために行うものでした。昔は、心筋梗塞を起こした患者さんに対する最大の治療は絶対安静でした。心筋梗塞を起こしたばかりの時には心筋がやわらかく不安定です。壊死したばかりの心筋はやわらかいため負荷をかけると破裂する恐れがあります。不整脈も出現しやすく、少しの労作でも心室頻拍や心室細動が起きてしまいます。急激に心臓のポンプ機能が低下しているので、心不全も起こしやすくなります。複数の血管に狭窄があれば、再度心筋梗塞を起こすこともあります。これらは、致死性の合併症であり、心筋梗塞急性期にいきなり体を動かすと生命の危険にさらされます。今は、治療法が進化し、急性期にカテーテルで血行再建術を行うことが一般的なっていますが、それでも、梗塞範囲が大きければ当初は絶対安静が必要です。一日目は絶対安静で食事や排せつもベッド上で行います。二日目はベッドを30度までギャッジアップでき、3日目はベッド上に座って食事をとるようになります。4日目からは立つことが許され、ポータブルトイレが使用できます。5日目からは少しずつ歩行をしてもらいます。各病院で少しずつマニュアルが異なりますが、どこでもこのような段階を踏んで、絶対安静から徐々に行動範囲を広げていきます。そして、ステップアップするごとに心電図をモニターし、自覚症状と血圧もチェックします。一つでもクリアできない問題、例えば血圧が下がるとか不整脈が出るとかがあれば、ステップアップは延期になります。順調にリハビリが進めば、2週間程度で日常生活レベルまで行動範囲を広げ、退院の準備をします。心筋梗塞だけでなく、心不全や心臓手術のときにも、それぞれにマニュアルがあり、行動範囲のステップアップメニューが決まっています。

近年は治療の進歩もあり、リハビリのスピードが上がってきています。進んだ施設では、補助人工心肺を付けながらもトレーニングを行っています。これは、治療法の進歩だけでなく、心臓リハビリテーションに対する考え方が変わってきたことも影響しています。以前は、心臓リハビリテーションは、単に日常生活復帰まで徐々に体を慣らしていくことを目的としていました。しかし、最近は、適切なトレーニングが心疾患の予後を改善することがわかってきています。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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