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聴診器

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月報 「聴診器」 2016/07

月報 「聴診器」 2016/07/01

最近、薬の安全性について質問を受けることが多くなってきました。自分が受ける医療について関心を持つのは大変良いことだと思います。ただし、今回は週刊誌による「反医療キャンペーン」による不安がきっかけのようです。確かに、薬は100%安全ではありません。副作用は100分の1程度起こります。重大なものに限れば1000分の1以下です。逆に言えば、ほとんどの人に副作用は出ません。しかし、雑誌ではすべての人に副作用が出るような論調で不安を煽っているようです。これは、間違った行為です。

雑誌で糾弾されている薬の中には、数千万人の心筋梗塞の発症を抑え、命を救った薬があります。今回の件で、多くの人が薬を自己中止し、寿命を縮めるのではないかと危惧しています。

21 心筋梗塞2 ⑥退院、通院

心筋梗塞で入院し、緊急カテーテル治療、CCUでの急性期を乗り切れば、一般病棟に移動します。一般病棟ではモニターもはずれ、徐々に行動制限が解除されます。食事も普通食に移行しています。ただし、心筋梗塞発症前の食事に戻るわけではありません。塩分やカロリー、脂質を制限された食事が提供されます。心筋梗塞発症後は心不全のリスクが高いので塩分制限が必要です。また、高脂血症などを合併していることが多く、脂質やカロリーの制限も必要になってきます。数日おきに採血検査や心電図検査を行い、経過が順調かどうかを見ていきます。リハビリテーションも開始します。最初は歩行からはじめ、徐々に負荷を増やしていきます。病棟ではもちろん禁煙です。病状によりますが、だいたい2週間程度で退院になります。

退院後は通院を続けます。継続的に薬を飲む必要があり、定期的に検査もしなければなりません。薬は、心筋梗塞の再発を予防する薬、心不全を治療する薬、合併症の治療薬などが投与されます。抗血小板薬は、動脈硬化を起こした血管に血栓ができるのを予防する効果があります。皮下出血や、胃が荒れることがありますが、心筋梗塞再発予防効果があります。また、急性期の治療で冠動脈にステントを入れた場合は、ステントに血栓がつきやすいので、抗血小板薬は必ず飲まなければなりません。コレステロールを下げる薬は動脈硬化の進行そのものを抑制します。再発予防のためにはLDLコレステロールは100以下を目指します。血圧のコントロールも大切なので、降圧薬も投与します。心機能が低下した症例では、心臓を保護する作用があるような降圧薬を選びます。糖尿病があれば、その治療も行います。大切なのは生活習慣を変えることです。退院して当初はきちんとした生活をしていた人も、のど元過ぎれば熱さを忘れるのでしょうか、以前のような不健康な生活に戻ってしまう人が少なくありません。過食、運動不足、喫煙、過度の飲酒は自ら心筋梗塞再発のリスクを上げ、命を縮める行為です。タバコは絶対にやめなければなりません。運動療法も大切です。通院先に施設があれば、心臓リハビリテーションを行ったほうが良いでしょう。

数か月外来で通院したら、もう一度、冠動脈造影を行います。ステント治療した部位の確認、他の動脈硬化病変の進行具合の確認を行います。再狭窄や新規病変があれば再度治療を行います。

心筋梗塞になっても無事退院し、日常生活をとり戻せたことは素晴らしことです。しかし、見えないところに病変は存在したままであり、動脈硬化は進行するものです。一生、付き合う必要があると思ってください。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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