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聴診器

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月報 「聴診器」 2016/12

月報 「聴診器」 2016/12/01
今年は比較的気温の高い秋だったようです。11月も例年よりも暖かな日が多かったですね。それでも感染症の患者さんは多かったようです。特に、肺炎が多い印象がありました。よくノロウイルスやインフルエンザで大騒ぎになりますが、実はこれらの感染症による死亡はそれほど多くはありません。肺炎や腎盂炎、胆嚢炎のほうがかなり重症の病気で、敗血症から死に至ることもあります。医学的には常識のことですが、意外と知らない方が多いように思います。
風邪がこじれて肺炎になるケースが多くあります。風邪はほとんどの場合はウイルスが原因で、「風邪薬」は効きません。抗生剤もウイルスには無効です。薬局や医者は風邪の症状を緩和するだけの薬を「風邪薬」と称して売っているだけです。具合の悪い時は「風邪薬」を飲んで無理をしてもよくはなりません。しっかり休息をとることが大切です。もちろん、禁酒禁煙です。
22 弁膜症2 ④弁膜症の手術
弁膜症の根治療法は手術になります。弁が機械的に壊れているわけですから、薬や生活習慣の改善では心臓の負担をとることはできても、弁そのものを修復することはできません。
基本的には開胸開心しての弁置換術が行われます。胸骨を切開して開胸器で胸を開きます。心嚢を切開すると心臓本体が現れます。心臓が動いたままでは手術はできませんので、人工心肺を使用して血流を確保し、心臓自体を停止させます。心臓を切り開き弁の部位に到達すると弁輪を切開し、病気の弁を取り出します。つぎに人工弁を弁輪に縫い、心臓の切開部を縫合し、心拍を再開させます。人工心肺を離脱させて、心膜を縫合します。胸骨は糸ではなく、丈夫なワイヤーで固定させます。術後に心拍が不調になることもあるのでペーシング用の電極を体の外に出しておきます。もちろん、他の部位の手術と同じようにドレーンも留置します。簡単に書きましたが、非常にむずかしい手術で、高度なテクニックとシステムが必要です。心臓外科の手術に立ち会うと、我々内科医は感嘆し、無条件に心臓外科医を尊敬してしまいます。
術後は心不全や不整脈の管理が必要になります。感染症や心膜炎の早期発見も必要になります。術後の不安定な時期を乗り切り、日常生活が可能になれば退院です。人工弁に機械弁を使用すると、血栓が付きやすくなります。血栓が人工弁につくと弁がうまく開閉せず、再び心不全を起こします。弁の動きが制限されずとも、人工弁に血栓が付けば血栓が飛んで脳梗塞を起こすことがあります。このため終生ワーファリンを飲む必要があります。豚の弁を利用した生体弁では、比較的血栓が付きにくく、ワーファリンは不要となります。しかし、以前の生体弁は耐用年数が短く、基本的には機械弁が選択されていました。最近は、生体弁の耐用年数も延びたためか、生体弁が選択されることが増えてきています。
生体弁よりも、より自然に近いのは弁修復術です。例えば、腱索が切れたために僧房弁後尖がずれて僧房弁閉鎖不全症になった場合ですと、切れた腱索を上手に修復すると後尖がずれなくなり僧房弁閉鎖不全症は完治します。ほかにも、狭くなった弁を切り開いたり、弁輪を縫縮するなどをして弁の機能を回復させることが出来ます。この場合は、自分の弁を使用していますのでワーファリンは必要なくなります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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