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聴診器

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月報「聴診器」 11月号発行しました!

月報 「聴診器」 2018/11/1
10月28日に心臓リハビリテーション学会九州支部会が開催されました。この学会は1回目から参加を続けていますが、今回も当院から二つの演題を発表しています。会場から「興味深い内容だったと」お褒めの言葉を頂きました。
同じセッションでは高校大学医局の後輩である熊本大学の有馬先生も発表していました。ラットの血管を独自技術で可視化し、血管新生の機序を解剖学的に考察した素晴らしい内容でした。同門として誇らしく思います。そのうちノーベル賞でもとるかもしれません。

26 循環器トピックス③  抗血小板薬
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の再発予防のために抗血小板剤を投与しています。いわゆる「血液をサラサラにする薬」です。抗血小板剤による再発予防は20年以上前に確認されており、すでに確立した方法です。ところが、今は二つ観点から抗血小板剤による治療が議論を呼んでいます。
一つ目はステント治療後の抗血小板剤投与についてです。現在の冠動脈ステントは再狭窄予防の薬が塗ってあるものを使用しています。そのために再狭窄は劇的に減少し、安定した治療効果が得られるようになりました。しかし、薬剤コーティングステントを入れた場合には抗血小板薬一剤ではステント部に血栓を作ってしまうことがあります。遅発性ステント内血栓症と呼ばれ非常に大きな問題となりました。このため、薬剤コーティングステントを入れた患者さんに対しては抗血小板剤を二剤使うようになり、ステント内血栓症は激減しました。では、いつまで二剤併用を続けるべきなのでしょうか。研究によっては、二剤併用は一か月間でもいいとの意見もあります。逆に1年以上続けた方がよいとの報告もあり、結論は出ていません。この問題が難しいのはステントの質により影響されることです。最初の薬剤コーティングステントは血栓がつきやすいため、終生抗血小板二剤併用が必要なようです。ただし、最近のステントは血栓がつきにくいように改良されています。僕は出血リスクの高い患者さんはできるだけ短期間が良いと思っています。また、抗凝固薬を併用している患者さんには、抗血小板薬は一剤でもよいのではないかと思っています。
もう一つは、一次予防における抗血小板薬の有用性についてです。一次予防とは心筋梗塞や脳梗塞の初回発作を防ぐことを意味します。特に症状がない患者さんが「将来、心筋梗塞になりたくないから薬を飲んでおこう」という場合です。例えば、コレステロールが高い場合にはスタチン製剤を飲むことで心筋梗塞になる確率が下がり、スタチン製剤は心筋梗塞の一次予防に効果ありと考えられます。では、抗血小板薬をあらかじめ飲むことで心筋梗塞や脳梗塞になる確率は下がるのでしょうか。このことに対する答えが、最近発表されました。結論は「抗血小板薬による心筋梗塞、脳梗塞の一次予防効果はない」とのことです。がっかりする結果ですが仕方ありません。誰に投与するか?によって少し結果は異なります。健康や疾病のない高齢者に投与しても効果はありませんでした。糖尿病を対象にした場合では、脳梗塞や心筋梗塞は少し減りましたが、出血の合併症が増えてしまいました。
「血液サラサラ」は感じの良い言葉で健康食品のキャッチコピーにもよく使われます。健康食品などは、本当に血小板機能を抑制する働きがあるわけではありませんので気にする必要はないでしょう。しかし、本当の抗血小板薬については「過ぎたるはなお、及ばざるが如し」のようです。
上野循環器科・内科医院  上野一弘

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