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月報「聴診器」6月号発行しました!

月報 「聴診器」 2024/06/01

子供たちや若い人を中心にマイコプラズマ肺炎が流行りつつあるようです。マイコプラズマ肺炎は数年おきに流行があり、以前は「オリンピックの年に多い」などと言われていました。そういえば、今年はパリオリンピックですね。咳が続いて高熱が出る場合もありますが、これは一般的な肺炎の症状とそんなに変わりはありません。潜伏期間が2-3週間と長いため、誰からうつったのかはなかなか分かりません。マイコプラズマは細菌の一種ですが、他の細菌よりも小さく細胞壁をもたないので、ペニシリンのような抗生剤は無効です。治療にはマクロライド系抗生剤などが必要になります。予後は比較的良いのですが、時に重篤な合併症を伴うこともあります。

症状や胸部レントゲン写真ではマイコプラズマ肺炎を疑わせる所見というものはありますが、特異度にかけるため診断は比較的困難です。当院ではマイコプラズマ核酸検査を行い、確実かつ早期の診断ができるように心がけています。

 

32 検査2 放射線検査 CTスキャンの最新技術

前回はCTスキャンについて説明しました。CTは非観血的に体の内部を調べることができる検査で、今では三次元画像も日常的に目にするようになってきました。これまでのCTの進歩は高速化多列化を進める流れでした。しかし、最近質的に大きな変化を迎えています。

まずは、デュアルエネルギー技術です。従来のCTでは一種類のX線エネルギーを用いて撮影し、その吸収値の差で画像を構成していました。デュアルエネルギーCTでは2種類のエネルギーを利用することで、従来のCTでは難しかったことができるようになっています。これには管球を2つ使用する方法、一つの管球を高速でスイッチする方法、検出器を2層にする方法などがあります。各社がそれぞれの方法で開発を行っています。デュアルエネルギーCTでは、造影剤効果の増強、造影剤使用量の低減、金属アーチファクトの低減、肺還流画像の作成、脂肪成分の検出、癌の骨転移の早期検出などが可能になります。従来のCTでは関心領域のX線吸収値しか情報がありませんでしたが、デュアルエネルギーCTでは実効原子番号画像を作ることができます。原子番号は原子が有する陽子と電子の個数とほぼ一緒で、それぞれの原子の特徴を示します。水素原子なら「1」、酸素原子なら「8」です。デュアルエネルギーCTでは特定の領域の、いわば仮想原子番号を測定することが可能です。これによって、関心領域の形や大きさだけなく性状もわかることができます。例えば、尿路結石には様々種類がありますが、デュアルエネルギーCTで実効原子番号を調べて性状を明らかにすることも可能です。循環器科では冠動脈CTを撮ることが多くありますが、動脈硬化が強く石灰化した病変では狭窄の程度がはっきりわからない場合もあります。デュアルエネルギーCTでは石灰化が強い病変でも、実効原子番号を利用することで真の狭窄具合を把握することができます。また、心臓内血栓の描出にもすぐれています。

さらに新しい技術がフォトンカウンティングCTです。従来のCTではX線の検出は複雑な工程を経ていました。このため制度に限界がありましたが、フォトンカウンティングCTでは半導体検出器を使用してX線のフォトンを直接検出することが可能になります。原理的には空間分解能が劇的に向上するので、顕微鏡で見るのに近い映像が得られることになります。また、被爆線量の低減や組織の質的診断も可能になると期待されています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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