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聴診器

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月報 「聴診器」 2005/9/1

月報 「聴診器」 2005/9/1

暑い日が続きますが、朝晩は少し涼しい風が吹いてきました。いつのまにか、蝉の声も「ジージー」から「ツクツクホーシ」に代わっています。少しずつ秋の気配ですね。

 

4弁膜症④ 症状、検査、治療

前回まで、僧帽弁疾患、大動脈弁疾患のだいたいのところを説明しました。では、これらの弁膜症ではどんな症状が出てくるでしょうか。僕たち循環器医が弁膜症を疑うのは、①心不全症状がある場合、②不整脈・心電図異常がある場合、③心雑音を指摘された場合、④重症感染の場合です。心不全症状は、弁膜症などで心臓の機能が衰えてくると出てくる症状です。手足がむくんだり、動くと息苦しくなったり、ひどい場合には横になると息苦しくなるため座ったまま寝ていることもあります。弁膜症が不整脈の原因になっている場合があります。不整脈自体はたいしたことの無いものであっても、調べてみるとひどい弁膜症がある場合もあります。また、重症の弁膜症では心臓の形が変形したり、心臓の筋肉が弱ったりして心電図が変化することもあります。ただし弁膜症であれば、必ず心電図変化や症状が出てくるわけではありません。検診や他の疾患で受診していただいたときに、たまたま見つかる場合があります。この場合は軽症なものがほとんどですが、中には定期的な観察が必要な例もありました。重症感染症の場合は、弁膜症がばい菌の巣になっている場合があります。前回述べた感染性心内膜炎ですね。

さて、弁膜症を疑った場合、次に検査をします。検査の一番初めは、聴診です。医師にとって聴診は基本ですが、検査機器が進歩しすぎたせいでしょうか、最近ではあまり大事にされていないようです。これに関しては、昔の医師のほうが優秀で心雑音だけで細かい診断や、重症度が分かる先生もいらっしゃいました。次に弁膜症の検査で欠かせないのは心臓エコーです。エコーは超音波を利用した検査で、痛みや体に負担をかけることの無い検査です。エコーでは、心臓の形、動き、血流などがわかります。心臓エコーでは、心臓の大きさ、壁の厚さ、収縮の様子、血液の流れを見ます。逆流や加速血流が容易に分かるので、弁膜症の検査にはうってつけです。そのほか、弁の固さや、心臓の中の圧力などもわかります。これらを総合して心臓エコーで重症度を判定することができます。重症であれば、カテーテル検査をします。これは細い管を心臓に入れて行う検査で、入院が必要です。心臓の中に入れた管から圧力をはかったり、造影剤を入れて逆流の様子を観察したりします。

弁膜症は程度により、軽症、中症、重症に大別されます。このうち、軽症の場合は定期的に心エコーで観察のみおこないます。中程度以上では、内服薬で心臓の負担をとる治療をします。重症例では弁置換術や弁形成術などの手術が行われます。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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