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聴診器

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月報 「聴診器」 2007/12

月報 「聴診器」 2007/12/1

 

もう12月。一年はあっという間ですね。でも振り返ってみれば、いろいろなことがありました。来年はどんな一年になるでしょうか。

 

8 高血圧⑩ 高血圧の薬物治療 中枢神経抑制薬 利尿薬

今回で降圧薬の説明は最終回です。これまで、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬、βブロッカー、αブロッカーについて説明してきました。今回は中枢神経抑制薬と利尿薬について説明します。

前回は交換神経をブロックする薬を紹介しましたが、これは主に末梢神経のレベルで働く薬です。中枢神経抑制薬は神経の働くおおもと、つまり脳みそに作用することで血圧を下げる薬です。作用の仕方は、交感神経の受容体をふさいで神経の命令が伝わるのを邪魔したり、偽者の物質を紛れ込ませて交感神経の働きを弱めたりします。ワイテンスやアルドメットなどの薬がこの仲間に当たります。特徴はあまりなく降圧効果もそれほど強くないので、他の種類の降圧薬に比べて使われる機会があまりありません。ただしアルドメットは、胎児に悪影響が少ないので、妊娠中の高血圧には好んで使われたりします。

利尿薬はかなり昔から使用されていた薬です。降圧薬の中では一番古い種類になります。高血圧の原因の一つに塩分過多の状態があります。体内の余分な水分と塩分は腎臓から尿として排泄されます。この時、まず腎臓は多量の尿(原尿)を作り途中で塩分と水分を再吸収するようにしています。利尿薬は、この再吸収を抑制することで塩分と水分の排泄量を増やします。特に、日本人のように塩分摂取が多いタイプには有効なことが多いようです。ラシックス、アルダクトン、フルイトランなどがこれにあたります。心不全のコントロールにも使用しています。しかし、尿酸値が高くなったり、糖尿病が悪化することが多いため、様々な降圧薬が開発されると使用が敬遠されるようになって来ました。

ところが、最近再び利尿薬の使用量が増えてきました。きっかけは「ALLHAT」というアメリカでの研究結果でした。これは製薬会社の関与を出来るだけ排除した研究で、「どの降圧薬でいくつまで下げたらよいか」との疑問に答えるために行われたものです。それまでは、新開発の薬のほうが有利な結果が出るような研究が多かったのですが、ALLHATでは①血圧は低ければ低いほどよい、②降圧薬の種類は何でもいい、③利尿剤で悪いことはない、との結果が得られました。研究は背景や手法がそれぞれ異なるのでALLHATの結果がすべての症例に適応できるわけではありませんが、利尿薬はおおいに見直されることになりました。特に、アンギオテンシン受容体拮抗薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬で十分な降圧効果が得られない症例に対しては、非常に有効であるといわれています。

僕も、なかなか血圧が下がらない方には利尿薬を処方していますが、副作用の出現をチェックするように努めています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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