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聴診器

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月報 「聴診器」 2007/5

月報 「聴診器」 2007/5/1

 

皆さん、連休はどのように過ごしましたか。僕は子供たちをつれて城山に登りました。沢山の巨木を見ながらの散策でとても楽しく登ることが出来ました。山道もきれいに整備されていて、その心遣いに感銘を受けました。

 

8 高血圧④ 高血圧と腎臓

前回は、高血圧による心臓の障害を説明しました。しかし、高血圧は心臓だけに障害を与えるわけではありません。心臓と同じぐらい高血圧と関係がある臓器が腎臓です。腎臓病は高血圧によって引き起こされることがありますし、逆に腎臓病によって血圧が上がる場合もあります。

腎臓は背骨の両脇にある、こぶし程度の大きさをした臓器です。血液の老廃物を尿として排出している臓器です。しかし、単なる濾過装置でなく、血中のイオンバランスを調節したり、血圧をコントロールする大切な働きもしています。腎臓には動脈から血液が流れ込み、いくつにも枝分かれし、最終的には糸球体という、血管が毛玉のように固まった構造物に行き着きます。糸球体は大変小さなもので、ひとつが0.2mm程度しか有りません。ひとつの腎臓にはこれが100万個ほど詰まっています。血液がこの糸球体に入ると、老廃物や不必要な水分などが血管の外に押し出され、原尿となります。原尿は大変薄いもので1日100リットルも作られます。その後、原尿は尿細管という細い管を通り濃縮され、いわゆる尿と成ります。糸球体での濾過、尿細管での尿濃縮が腎臓が尿を作るための大切な機序なのです。血圧が高くなれば、糸球体に高い圧力がかかります。高い圧力がかかれば、糸球体はつぶれてだめになってしまいます。一度つぶれた、糸球体は二度と元に戻りません。それだけでなく、糸球体の数が減ってくると、腎臓は血圧を上げるホルモンを放出します。このため、高血圧による腎不全が始まると、益々血圧が上昇し、上昇した血圧が更に腎臓を傷害する悪循環に陥ります。最終的には、腎臓が全く働くなり尿毒症をおこしたり、全身や肺がむくんで死亡します。現代では、この段階で人工透析が開始されます。

この悪循環を断ち切るためには、血圧を下げることが一番になります。血圧を下げることで、糸球体にかかる負担を減らしてあげるのです。このとき、糸球体内の圧力をより下げることの出来る薬を使用したほうが、腎臓を守る作用が強くなります。腎臓障害は初期には大変わかりにくく、採血検査ではかなり進まないと異常値が出ません。ただし、初期でも尿に蛋白がでるようになりますので、検尿の結果は大変参考になります。

もちろん、高血圧以外の原因でも腎臓は悪くなります、糖尿病性腎症、多嚢胞性腎臓、腎血管狭窄症、急性腎炎、慢性腎炎などの病気になれば腎臓が障害を受け、血圧も上昇していきます。このような場合でも、血圧をコントロールすることで腎臓障害の進行を遅らせると考えられています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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