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聴診器

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月報 「聴診器」 2008/5

月報 「聴診器」 2008/5/1

 

急に暑くなってきましたね。天気がいいことはうれしいのですが、確か去年は黄砂がひどく、のどを痛めた方が多かったように思います。今年は、まだ光化学スモッグは確認されていないようですが、警戒をしなければなりませんね。

 

9 糖尿病② 糖の代謝

前回から、糖尿病の話を始めています。糖尿とは血液中の糖が多くなりすぎる病気です。血液中の糖分が多すぎると、動脈硬化が進行したり、免疫が弱ったりするので、さまざまな合併症に苦しむことになります。しかし、本来糖分は体にとって必要なものです。臓器が活動するためにはエネルギーを消費しますが、このエネルギーの供給源の大部分は糖分が占めています。特に脳は、糖分のみをエネルギー源としています。多すぎる糖分は問題ですが、糖分自体は生存に不可欠な栄養素です。

糖は炭水化物の一種で、炭素と酸素、水素によって構成されています。「糖」にはさまざまな種類があります。糖を構成している炭素の数で「5炭糖」「6炭糖」と分けたり、結合している分子の数によって単糖や多糖とわけたりします。さらに、それぞれに分子的特徴の差によって多くの名前がつけられています。グルコース、フルクトース、ガラクースなどが有名ですね。このうち、エネルギー源として重要なのはグルコース(ブドウ糖)です。一般に生体で「糖」という言葉を使う場合は、グルコース(ブドウ糖)のことをさすと思ってください。

糖は口から食物の形で摂取されます。代表的なものは、でんぷんとショ糖です。でんぷんは、ブドウ糖が3000個ぐらいつながっている多糖類です。ショ糖は、グルコースとフルクトースがつながっている2糖類です。食物は消化管内で細かい分子に分解され、グルコースの形で小腸から吸収されます。吸収された糖は門脈という特別な血管を通って肝臓に運ばれます。ここで、糖の一部はグリコーゲンの形で肝臓に蓄えられます。一部の糖はそのまま、血中に移行します。血管を流れて臓器に運ばれますが、そのままでは糖は臓器内に入って行きません。臓器は細胞の集まりでできていますが、細胞には細胞膜があるため、自然に糖がしみこんではいかないのです。細胞膜に多種の穴が開いています。その中には、糖を通す穴もありますが、この穴は普段は閉じています。ここに、インスリンというホルモンがやってくると、穴が開いて糖が細胞に取り込まれるのです。細胞に取り込まれた糖はさらに分解され、水と二酸化炭素になりますが、その過程で多量のエネルギーを放出し、細胞の活動を支えるのです。

インスリンは膵臓という肝臓と胃のそばにある臓器から放出されます。インスリンは常時微量に放出されていますが、食後、門脈の糖分が多くなると、多量に放出されます。インスリンは、細胞に糖分を取り込ませて、血糖値を下げる働きがあります。インスリンは、糖の代謝に重要な働きをしますので、糖尿病の病態に密接に関わってくるホルモンです。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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