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聴診器

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月報 「聴診器」 2011/12

月報 「聴診器」 2011/12/01

先日、福島県いわき市の物産館が復活したことがニュースで流れていました。4月にJMATでいわき市に行ったときに訪れたところです。当時は、がれきが連なる荒涼とした海岸に、崩れた建物があるだけでした。こんなに早く復活するとは思っていませんでした。

震災から8か月。被害の甚大さには言葉がありませんでしたが、人間の営みも偉大ですね。来年はよい年になってほしいです。

 

14 雑談 ①カテーテルによる心臓手術

この月報では分野別に分けて話をしていますが、どこに分類していいかわからない話や、新しい医学ニュースがあります。これからしばらくは「雑談」として、雑多な話を紹介します。

近年、カテーテルによる治療が急激に進んでいます。もともと、冠動脈の狭窄や不整脈の治療にはカーテルが使用されていました。以前にこの月報でも紹介したと思います。ところが、心臓外科の専売と思っていた領域にもカテーテル治療が進出しています。

生まれつき心臓に穴が開いている「心房中核欠損症」という病気があります。これまでは、開胸して、心臓を止めて、人工心肺を回して手術をしていました。心臓を切り開いて、穴にパッチを縫い付けます。この手術の代わりにカテーテルを使用する方法が開発されました。金属でできた傘が二重になったような器具を、たたんでカテーテルの中に入れておきます。静脈から入れたカテーテルの先端を右心房から欠損孔を介して左心房まで進めます。ここで先端部の傘を開き、少しカテーテルを引っ張って、右心房側でもう一つの傘を開きます。欠損孔を二つの傘で挟むようにするのです。傘は網状になっていますので、そのうち血栓がくっついて穴がふさがります。

大人の手術では弁膜症の治療にカーテルが使用されるようになりました。以前から僧房弁狭窄症に対しては、カテーテル手術が行われてきました。2-3㎝程度の風船を使用して、狭くなった僧房弁を無理やり広げます。乱暴な気もしますが、意外と治療成績が良いため、適した症例には弁置換術よりも第一選択にされていました。最近では大動脈弁狭窄症でもカテーテルと風船を使用しての治療が試みられています。大動脈弁は圧力が高いので危険性が高いのではないかと思いますが、いろんな工夫をして実用化されたようです。弁が狭くて風船がうまく通らない場合には、みぞおちから心臓を突き刺してカテーテルを入れるそうです。

弁の閉じが悪い大動脈弁閉鎖不全症でもカテーテルによる治療が開発されています。置換用の人工弁を細くたたんでカテーテルに収納し、大動脈弁の部位で風船を使って広げて壁に押し付けるそうです。風船をしぼませてカテーテルごと引き抜くと人工弁だけが残るわけです。僧房弁閉鎖不全症では、前尖と後尖の中央をクリップで止めるそうです。クリップの左右の隙間から血液が流れることになります。

これらの手技は臨床応用がされ始めたばかりです。日本では少数の施設が行っており、報告も多くなってきました。治療成績も従来の手術と比べて遜色ないものもあります。これまで、年齢や合併症のため手術をあきらめていた症例には朗報だと思います。

正直、「そんなことをしていいんだろうか・・」と不安になる手技もありますが、医療の進歩とはそうしたものなんでしょう。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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