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聴診器

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月報 「聴診器」 2012/09

月報 「聴診器」 2012/09/01

暑い夏もやっと終わりが見えてきました。危惧されていた電力不足も何とか乗り切れそうです。計画停電も実施されずに済みました。皆さんの節電努力のおかげだと思います。また、忘れてならないのは大飯原発です。再稼働のおかげで関西地区の電力に余力ができ、中国四国地方から九州への電力供給が確保できたようです。再稼働には多くの反対意見がありましたが、再稼働のおかげで夏を乗り切れたことは事実と思います。福井県の決断には頭が下がります。

 

15 医師列伝④

前回までは医学全体に功績のあった人物を紹介していました。今回は、不整脈界の有名人を紹介します。僕には面白い話ですが、皆さんには全く役に立たない知識と思います。

セニング:アメリカの心臓外科医です。房室ブロックや洞機能不全症候群では失神を繰り返すことがあります。特に有効な薬物療法ないため、昔は寝たきりの生活を余儀なくされたそうです。1958年にセニング先生が植え込み型ペースメーカーを初めて臨床的に使用しました。これによって、重度の不整脈があっても、通常の生活ができるようになりました。

シュワルツ:心臓の筋肉には電気が流れています。これは細胞膜にある小さな穴をナトリウムイオンやカリウムイオンが出たり入ったりすることで伝わっていきます。この穴に異常があると電気の通り方がおかしくなり、重度の不整脈が出現します。この穴の特性についてよく調べ、QT延長症候群という病気の発症原因について、美しく解説し分類してくれたのがシュワルツ先生です。シュワルツ先生の仕事をきっかけに様々な病気の原因が解明されつつあります。

ブルガダ兄弟:ホセ、ペドロ、ラモン3人兄弟です。1992年にホセとペドロの連名で突然死に関する論文を発表しました。心臓病の既往がないのにもかかわらず突然死をおこした症例の中に、特徴的な心電図変化を持っている人が多いとの報告でした。これは今では「Brugada症候群」とよばれ、突然死を起こす疾患として知られるようになりました。20世紀も終わり近くになり、心電図変化だけを指標に新しい病気を発見したことは驚きをもって受け止められました。なお、兄弟はそれぞれ世界的に活躍していますが、混同されることが多いそうです。一度、「我々を混同しないで」との論文が医学の一流誌に載ったこともあります。

コックス:心房細動という不整脈があります。罹患患者も多く、中には薬が効かないこともあります。僧房弁狭窄症などの弁膜症に合併しやすいことも特徴です。1991年にアメリカのコックス教授が心房に切開線を入れることで、心房細動を治療する手術を開発しました。迷路のように切るのでMAZE手術と名付けられました。今ではカテーテル手術が進歩して、MAZE手術を単独で行うことは少なくなりました。ただし、心房細動を合併した弁膜症の手術では、MAZE手術が並行して行われています。

熊谷浩一郎:修猷館高校の出身です。前述の開胸的心房細動手術と並行して1990年代から心房細動のカテーテル手術を研究しはじめ、この分野では日本の第一人者と言われています。以前は、心房細動に対するカテーテル手術は、可能性も需要もないと思われていました。ところが、熊谷先生やフランスのハイサゲール先生が手術方法を確立すると、瞬く間に世界中に広がっていきました。今では、症状が強く、薬が効きにくい症例に対してはカテーテル治療が勧められています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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