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聴診器

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月報 「聴診器」 2013/03

月報 「聴診器」 2013/03/01

超音波検査の機械を買い換えました。開業当初から10年以上同じ機器を使用していました。まだまだ使用できるのですが、より良い検査をするために最新・最高のものを置くことにしました。GEメディカル社製のVivid E9という機種で、県内では小倉記念病院など少数の医療機関しか所有していません。心臓の様子がすごくよく見えますし、3D検査や高度な解析も可能です。その分、使用者側にも高い知識と技能が要求されます。機械に負けないように技師さんともども一生懸命に頑張ります。

 

16 不整脈2 ⑥脈が速い 発作性上室性頻拍症

頻拍症の中には特徴的な症状を呈するものがあります。①突然始まり、②規則正しい頻拍で、③急に止まる場合は「発作性上室性頻拍症」かもしれません。発作性上室性頻拍症は名前の意味からは、発作性心房細動など心房由来の発作性頻拍すべてを含みそうですが、習慣的には房室回帰性頻拍と房室結節リエントリー性頻拍を意味します。

心臓の中では、電気が一方向性に流れ、脈拍を調節しています。洞房結節>>心房>>房室結節>>心室のように電気は伝導します。ここで重要なのは心房と心室の間には、房室結節しか伝導部位がないことです。しかし、心房と心室の間にもう一本、電気を流すものがあればどうでしょう。心室に伝わった電気が再び心房に伝わることも可能です。条件が整えば心房に伝わった電気が房室結節を通って心室に伝わります。さらに、心室からもう一本の伝導路を通って心房に電気が伝わり・・・・とぐるぐると電気が旋回することが可能になります。これも前回説明したリエントリー現象の一種です。これは、房室回帰性頻拍症と呼ばれます。正常の心臓には余分な伝道路はありませんが、臓器の発達段階で心房と心室の間にもう一本の伝導路ができることがあります。これは、心筋と似た構造を持ち、副伝導路と呼ばれます。副伝導路の伝導性には心房>>心室しかない場合、心室>>心房の場合、心房>>心室と心室>>心房の両方の伝導性がある場合があります。副伝導路があれば必ず房室回帰性頻拍をおこすわけではありません。副伝導路の伝導性や房室結節の性格が条件に合うと房室回帰性頻拍症を起こします。

似たような頻拍に、房室結節リエントリー性頻拍症があります。これは、副伝導路のようなよけな伝導路が房室結節にひげのようにくっ付いて起こる頻拍症です。この髭のようなものは、電気がゆっくり流れるのでslow pathwayと呼ばれます。多くの場合では電気はslow pathwayを降りて、正常伝導路逆行します。その後、再びslow pathwayを降りて、電気がぐるぐる回ります。

房室回帰性頻拍症や房室結節リエントリー性頻拍症は期外収縮などがきっかけで突然起こります。同じ回路を電気がぐるぐる回り続けるので頻拍のリズムは規則正しくなります。頻拍中に電気の流れがブロックすると、頻拍は突然止まります。そのため、上記①②③のような特徴的な症状になるのです。発作性上室性頻拍症では命に関わることはほとんどありません。ただし、長時間発作が続けば心不全を起こす場合も有ります。発作が短時間でも頻拍中の脈拍が早ければ、血圧が下がって頭がふらふらしたり、ひどい場合には失神することもあります。

発作性上室性頻拍症はカテーテルでの治療が有効な不整脈です。有効率は95%程度と言われます。薬での治療も可能ですが有効性が低く、副作用の問題もあるため第一選択としては勧められません。                        上野循環器科・内科医院 上野一弘

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