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聴診器

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月報 「聴診器」 2014/03

月報 「聴診器」 2014/03/01

冬は感染症が多い時期です。特に今年はB型インフルエンザが多かったように思えます。また、初期には偽陰性になってしまう方も多く診断に頭を悩ませました。少しずつ暖かくなり、感染症も減ってくるのでしょうが、今度は花粉症でつらい人が増えそうですね。

 

18 生活習慣 ②喫煙と健康被害

健康にいいもの、悪いものについての話題は毎日のように報道されます。発がん性物質などについての社会の関心も高いように思います。しかし、あるものが本当に体に悪いかどうかを判定するのは意外と難しい面もあります。数万人単位の統計学的に正しい方法で調査しないと断定はできないからです。はっきりと、どんな調査でも悪いとわかっているのはあまり多くはありません。例えば、飲酒や肥満といったものも統計を取ると意外な結果が出てくることもあります。そんな中で、喫煙はゆるぎなく「健康に悪い」とわかっているものの一つです。

喫煙は様々な病気を引き起こします。肺がんを筆頭に多くのがんは喫煙により発症率が上がります。心筋梗塞などの動脈硬化性疾患も増えます。また、肌の老化や骨粗鬆症を促進させることも知られています。いわば、「加齢促進剤」です。喫煙習慣のある人は、統計的には10年程度寿命が短くなるそうです。

タバコに様々な障害物質や発がん性物質が含まれています。これらの物質は細胞を傷つけたり、細胞の中にある遺伝子を傷つけたりします。傷つけられた細胞は、死滅し、他の細胞が分裂増殖することで組織は再生しています。しかし、この再生の段階で遺伝子のコピーを作る時にミスが出ることがあります。遺伝子のミスの多くは無害だったり、すぐに修復されたりします。しかし、重要な部位にミスがでたり、もともと修復起点に脆弱性があったりすると癌化することがあります。特にタバコでは、遺伝子を傷つける物質も含まれているので癌化のリスクが大きくなります。肺がんは喫煙により5倍程度に発症リスクが上がると知られています。喉頭がんの98%はタバコが誘因と考えられています。食道がんでは半数はタバコが原因といわれています。有名人も喫煙により癌を発症しています。立川談志さんや淡路恵子さんの食道がんは記憶に新しいですね。吉田拓郎さんは肺がんを発症し禁煙したそうです。

心筋梗塞も喫煙と密接な関係があります。喫煙は酸化物質を多く含みます。酸化物質は血液中のコレステロールを酸化して動脈壁に沈着させやすくしたり、血管に微細な炎症を起こしたりします。その結果、動脈壁にコレステロールが取り込まれ、プラークというイボのようなものができます。これが、ある日急に大きくなり血管をふさぐことがあります。心臓の周りの血管が詰まってしまえば、心筋梗塞を起こし、脳の血管がつまれば脳梗塞を起こします。喫煙によって、心筋梗塞の危険性は3倍になるそうです。徳光和夫さんは「健康に気を使うことが不健康である」と一日100本のタバコを吸っていたそうです。60才で心筋梗塞を発症し、禁煙しています。

慢性肺気腫は喫煙では必発の病気です。タバコを吸うことで肺の微細な部屋(肺胞)が壊れていきます。酸素を取り込む部分が減っていき、気道が狭くなっていきます。咳や痰が続き、体を動かすと息苦しくなっています。いったん壊れた肺の構造は二度ともとには戻らず、病気が進めば酸素吸入が必要になります。                 上野循環器科・内科医院 上野一弘

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