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聴診器

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月報 「聴診器」 2014/10

月報 「聴診器」 2014/10/01

旧診療所の取り壊しが終わりました。工事の関係で皆様には多大なご迷惑をおかけしています。旧診療所は約30年前に父が作りました。設計は現診療所と同じヴォーリス建築事務所でした。長年お世話になった建物でしたので残しての活用を検討しましたが、設備の老朽化も激しく取り壊すこととしました。父も、空き家になっている旧診療所の保安には不安もあったそうなので、ほっとしたとのことでした。10月からは心臓リハビリテーション棟の建築がはじまります。皆様には、引き続きご面倒をおかけします。より良い医療を行うことで恩返しをしたいと思います。

18 生活習慣 ⑨運動不足

前回までは、摂取するものの害について説明してきました。生活習慣として忘れてはならないのが運動不足です。運動不足は肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症と密接な関係があります。運動不足は直接的に使用カロリーを減らすため、栄養の需要と供給のアンバランスを招きます。供給過多になるわけです。このため、運動に使用されるはずであった、糖分が蓄積し糖代謝の悪化を招きます。また、長時間運動をしていると脂肪もエネルギー源として使用されるはずですが、この脂肪もたまってしまうため高脂血症も悪化します。もちろん肥満にもなります。これらの疾患は動脈硬化を促進させ、心筋梗塞を起こします。運動不足は心筋梗塞の原因になるのです。

運動不足が疾病の原因となるのがわかったのは比較的最近になってからです。交通が発達する以前は、ほとんどの人が体を動かざるを得ませんでしたので、運動不足の人そのものがあまりいなかったわけです。それよりも過労や栄養不足が疾病の主たる原因でしたので、運動が体に良いとは思われていなかったようです。例えば、イギリスのチャーチル首相は成功の秘訣として「活力を無駄遣いしないことだ。座れる時ならば立たずに座り、寝そべっていられるならば座らず寝そべるべきだ。」とまで言っています。しかし、交通が発達し、車社会になってくると動脈硬化疾患が増えてきました。運動不足が心筋梗塞の原因になることは1960年代にイギリスから報告されました。イギリスは2階建てのロンドンバスが有名です。車掌さんは切符を切るため、車内を歩き回り、階段を上り下りしなくてはいけません。ずっとトレーニングをしている状態なわけです。一方、運転手さんは座ったまま運転を続けなければなりません。そこで、イギリスのモリス博士が車掌さんと運転手さんでの心筋梗塞の発症について調査をしました。すると、30歳から60歳までのどの年齢層でも心筋梗塞の発生率と死亡率は運転手さんのほうが車掌さんよりも多いとの結果が出ました。運動不足が心筋梗塞の原因となることがはっきり示されたのです。

日本でも、一日の運動時間が30分未満の人、30分程度の人、それ以上運動をする人に分けて10年以上調査した研究があります。30分程度の運動をする人に比べて、運動をしない人では、心筋梗塞と脳卒中での死亡リスクが1.3倍になり、運動をする人では0.8倍程度になっていました。また、運動習慣を取り入れることで、糖尿病や高脂血症が改善し、心筋梗塞の発症が減ったとのデータもあります。

運動不足は循環器疾患だけでなく、様々な不調をもたらします。筋力が低下し、疲労感や肩こり腰痛を引き起こします。骨にかかる負荷も減り続けるため骨粗鬆症を起こします。最近では、認知症や癌の発症もわずかながら増えることがわかっています。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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