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聴診器

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月報 「聴診器」 2015/08

月報 「聴診器」 2015/08/01

急に暑くなりました。7月からこんなに暑くなったのは久しぶりかもしれません。熱中症指数でみると19日以降はほぼ連日30程度を記録していました。確か6月ぐらいには「エルニーニョ現象で冷夏になるかも」といわれていたような 気がします。どうなっちゃたんでしょうか。

20 狭心症2 ①狭心症の検査

前回から狭心症の話を書いています。狭心症は心臓の血管が細くなって胸が苦しくなる病気です。狭心症を疑った場合には心電図、レントゲン写真、心エコーを行います。ただし、狭心症では非発作時には心電図変化はありません。非発作時は心臓の動きも正常なので心エコーでも異常は見つかりません。これらの検査の意味は、心筋梗塞や心不全などの除外が主な目的になります。

発作が労作時に起きる方は、運動負荷検査が有効です。運動をして発作を誘発し、この時の所見を観察する方法です。例えば、運動負荷心電図では、エアロサイクルをこぎながら心電図をとります。狭心症が誘発されれば、心電図変化を認めることができます。心筋の血流不足が起きれば、心内膜側と外膜側での再分極過程にずれが生じて、ST部分の低下が出現します。また、心筋が血流不足になれば不整脈が起きやすくなります。運動負荷で増加する不整脈は狭心症の傍証と考えられています。運動負荷心エコーでは、発作時に心臓の動きの悪化を観察することができます。血流不足の心筋では十分な収縮ができないためです。運動負荷心筋シンチでは、運動中に血流が悪化している所見が見られます。心筋シンチは放射性同位元素を投与して、心筋に取り込ませる検査です。

運動ではなく、薬物を使用して発作を誘発する方法もあります。ドブタミンという薬では運動したのと同じような状態を作り出すことができます。ドブタミンは主に負荷心エコー検査で使用されます。ジピリダモールという薬は血管を開く薬です。しかし、正常血管しか拡張せず、動脈硬化病変の強い血管は拡張しません。相対的に狭窄部位のある心筋が血流不足になります。ジピリダモールは主に負荷心筋シンチで使用されます。

冠攣縮性狭心症ではこれらの負荷では発作が誘発されません。一番良いのは自然発作時に心電図を記録する方法です。患者さんに入院してもらって、発作が起きたら教えてもらい心電図をとります。しかし、この方法では発作が起きるまでずっと入院をしてもらわなくてはいけません。負荷試験で冠攣縮性狭心症を誘発する方法もあります。過換気負荷や冷水負荷で発作が誘発される場合があります。飲酒後に発作が起きる症例ではアルコール負荷を行う場合もあります。

狭心症が強く疑われれば、冠動脈の検査をします。以前は、この段階でカテーテル検査を行うのが一般的でした。この10年でCTスキャンの技術が大きく進歩し、今ではまず冠動脈CTを行うのが一般的になりました。CTスキャンは放射線を使用して体の断面を画像化できる検査です。このスライスを薄くして重ねていくと3次元に再構成することができます。造影剤を使用して、三次元構成を行うと、冠動脈の走行がわかります。以前はスライスが厚く、一度にとれるのは16スライスがせいぜいでした。そのため、呼吸や心拍数の影響で、再構成した冠動脈が凸凹になってしまいました。今では0.5mm厚のスライスが320枚、一度にとれます。おかげで、再構成した冠動脈画像はリアルで、スクリーニング検査には十分な精度です。

血管の狭窄が強く疑われたら、カテーテル検査を行います。(続く)

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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