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聴診器

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月報 「聴診器」 2015/09

月報 「聴診器」 2015/09/01

厚い8月もやっと終わりました。今年は、例年になく熱中症が多かった印象です。月末には台風も来ましたが、被害などはありませんでしたか?残暑は少しおだやかになるといいですね。

20 狭心症2 ③狭心症の検査 カテーテル検査

今回はカテーテル検査の話です。カテーテルとは細い管のことです。医療では、体内に薬を投与したり、尿を出すときなどに使用します。心臓の検査で使用するカテーテルは専用のものを使用します。管を通して心臓の圧力を測ったり心拍出量を測定するものや、血管造影を行うものがあります。狭心症では主に血管造影用のカテーテルを使用します。

冠動脈はそのままではレントゲンには写りません。そこで、レントゲンに写る薬を冠動脈に注入する必要があります。まず、手首の動脈からシースというカテーテルを挿入しやすい短めの「さや」を入れます。そして、シースの中からカテーテルを挿入し、血管に沿わせて心臓まで進めていきます。この際には、ガイドワイヤーというやわらかい線を先に進ませて、慎重に操作する必要があります。心臓までカテーテルを進めて、冠動脈の入口近くになれば、ガイドワイヤーを引き抜いて造影剤の入った注射器のようなものを接続します。ここで、空気が入ってしまうと冠動脈に空気がつまってしまいます。きちんと手順を踏んで空気を抜かなければなりません。カテーテルを操作して冠動脈に挿入して、造影剤を流します。この時、同時にレントゲンで撮影しながら動画を記録します。冠動脈は立体構造をしているので、様々な方向から撮影しないと正確な病態がわかりません。そのため、撮影の装置をぐるぐる回して同じことを繰り返します。だいたい、右冠動脈で2ショット、左冠動脈で4ショットほど撮影をします。撮影が終わると、カテーテルを抜いて、シースも抜きます。シースを抜くと1mm程度の穴が動脈に開きます。そのままでは、血がぴゅーぴゅー吹き出しますので、圧迫して止血する必要があります。

昔は、シースもなく動脈を切開してカテーテルを入れていたそうです。カテーテルも太くて操作がしにくく大変だったと聞いています。真っ直ぐの形状しかなかったので冠動脈に挿入するのもかなりのテクニックが必要だったそうです。いまは、カテーテルは細くなり、操作はしやすくなっています。冠動脈に挿入しやすい形があらかじめつけられていますので、格段に挿入しやすくなっています。挿入部位も昔は太ももの付け根が主流でしたが、今はほとんどが手首からになっています。右の手首から挿入するか左の手首から挿入するかは、病院ごとに考えがあり、決まっていません。動画の記録は昔はフィルムでしたが、今では当然デジタルです。

以前は、冠動脈造影の動画を見て、狭い部位を視覚的に判断していました。最近では血管内エコーを行うことが多いようです。非常に細い超音波検査装置を冠動脈内に挿入して、血管の断面図を記録する方法です。この方法では、冠動脈のプラークの性状や狭窄率を正確に判断することができます。プレッシャー・ワイヤーを使用する方法もあります。カテーテルの中から、冠動脈に圧力測定装置を挿入します。狭窄が高度ならば、狭窄部位よりも末梢では冠動脈圧が低下します。冠動脈入口部の圧力を1.0としたとき、狭窄部位より末梢0.75以下であれば高度狭窄と判断します。視覚的な判断は今でも主流ですが、新しい測定法ではより正確に高度狭窄部位を判断できます。これらの方法を併用することで、質の高い治療ができるようになっています。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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