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聴診器

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月報 「聴診器」 2016/05

月報 「聴診器」 2016/05/01

4月14日と16日に震度7の揺れが熊本を襲いました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。僕も岳父達が熊本に在住しており家屋が一部損壊したとのことでした。16日に迎えに行くついでに、水や食料を避難所に持っていきました。熊本で医師をしている友人たちにも援助のことを聞きましたが、16日の時点では物資は不足しているものの医療スタッフはある程度足りているとのことでした。現地の医療スタッフが不眠不休で奮迅の働きを続けてくれたようです。加えて、素早くDMATが入ったことでマンパワーの確保ができたことも大きかったようです。日本医師会のJMATも素早く立ち上がり、17日には活動を開始しています。宗像地区からは水光会病院の吉武先生班が現地にむかわれています。数々の震災を経て国全体のシステムも少しずつ進歩しているようです。当院では支援金のほか、エコノミークラス症候群の予防のためのフットマッサージ器10台を避難所に寄贈しています。

21 心筋梗塞2 ④心筋梗塞の検査-治療 補助循環

心筋梗塞と診断がついて、カテーテル治療を行うと半分以上の症例では安定した経過が期待できます。しかし、ここまでしても心臓動きが非常にわるいと血行動態を維持できず危険な状態のままの症例もあります。こんな時は、心臓のポンプ機能を補助する装置を使用します。

比較的よく使用されるのは大動脈内バルーンパンピング(IABP)です。これは20cm x 1.5cm程度の細長い風船を大動脈に入れて行うものです。風船はチューブで体外の機械につながっており、心臓の収縮に合わせて風船が膨らんだり、縮むようになっています。拡張期には大動脈弁が閉じますが、この時に合わせてIABPの風船が素早く膨らみます。すると拡張期の血圧が維持できるようになります。拡張期の血圧を維持することは、脳の血流や冠動脈の血流を確保するために重要なことです。心臓が収縮して大動脈に血液が送り出される時には、素早く風船が縮みます。このとき、陰圧がかかるので心臓が楽に血液を送り出すことができます。風船の膨張収縮は心電図に同期させて行います。ポッコンポッコンと音がしますが、ほかの補助循環装置に比べて簡便に装着できるのが利点です。ただし、大動脈瘤があったり、大動脈弁閉鎖不全症大きいとIABPは使用はできません。

IABPを挿入しても血行動態が維持できないときには経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用します。これはより本格的な装置で人工心肺に近いものです。大腿静脈と大腿動脈に太目のカテーテルを挿入します。静脈のカテーテルから血を抜き、脱血管からポンプ部に送られます。血液はポンプ部から人工肺に送られます。人工肺は細い中空のガラス管の集まりです。ここまで血液は空気から酸素を取り入れます。ここまでは黒い静脈血でしたが、ここから赤い動脈血になります。その後、送血管から動脈に血液が送られます。動脈には血液が逆行的に送られることになりますが、おかげで血圧が維持できるようになります。PCPSは非常に強力な手法ですが手技が煩雑で慣れてないと時間がかかってしまいます。ここをスムーズにできるのが一流病院と言っていいと思います。PCPSは原理上、心臓の収縮に対する負荷になりますので、心臓そのものの治療は別に行わなければなりません。また、足の血液を体外循環に回すので足の血行が悪くなるとがあります。出血や血栓症、感染症のリスクも上がります。スタッフがつきっきりで管理をする必要があります。それでも、PCPSはそのままでは亡くなってしまうような場合の切り札として使用されます。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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