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聴診器

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月報 「聴診器」 2016/09

月報 「聴診器」 2016/09/01

今年の夏は本当に暑かったですね。2か月にわたり猛暑が続き、雨もほとんど降りませんでした。僕が子供とプールや海に行ったときには、熱中症で倒れていた方に何度か遭遇しました。当院にも多くの方が熱中症で来院されました。全国で救急搬送された熱中症患者は4万人におよんでいます。災害といっていいレベルだったと思います。残暑が厳しくないことを願うばかりです。引き続き、クーラーの使用をお勧めします。

22 弁膜症2 ②僧房弁疾患

前回は、弁膜症についてその概要をお話しました。心臓には、逆流を防ぐために弁が4つあります。それぞれの弁が不調になると弁膜症になります。今回は、左心房と左心室の間にある僧帽弁の病気について説明します。

僧帽弁は、左心房が収縮して左心室に血液を送るときに弁が開いて血液が流れるようになります。次に、左心室が収縮して血液を大動脈に送るときに、僧帽弁は閉じて血液が左心房に逆流するのを防ぎます。いろいろな原因で僧房弁が固くなってくると、僧帽弁の開放が悪くなります。左心房が収縮しても僧房弁が十分に開放しないと、「僧帽弁狭窄症」という病気になります。

僧帽弁狭窄症になると左心房から左心室へ血液がスムーズに流れず、左心房の圧力が高くなってきます。左心房の圧力が上がってくると、左心房が腫れてきます。左心房の腫れがひどくなると、肺もはれてきて息苦しくなります。これはうっ血性心不全の状態です。また、左心房に負担がかかると、不整脈がよく出るようになります。僧帽弁狭窄症に合併する不整脈の代表は心房細動です。心房細動では左心房内に血栓を作り、その血栓が飛んで脳の血管に詰まると脳梗塞を起こします。僧帽弁狭窄症では左心房が大きくなっているため、血栓がよりできやすくなります。軽症の僧帽弁狭窄症では、内服薬で心不全や不整脈、血栓症のコントロールを行いますが、重症例では手術が必要になってきます。手術は、心臓を切り開いて弁を修復したり、人工弁に取り替えたりします。

逆に僧帽弁の閉じ方が悪くなってしまう病気もあります。僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症では左心房から左心室に血液が流れるときには、ちゃんと弁が開きますが、左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには、血液が左心房に逆流してしまいます。左心室が収縮するときには、強い力がかかり、左心室内は高圧になります。本来ならば、僧帽弁がこの圧力に負けないように、きちんと閉じて血液の逆流を防いでいます。しかし、僧帽弁閉鎖不全症では僧帽弁がきちんと閉じないため、圧力の高い左心室から圧力の低い左心房に血液が逆流してしまうのです。逆流量が多ければ、やはり、左心房に負担がかかり、左心房が拡大します。また、結果的に左心房から左心室へ行く血液も多くなりますので左心室も拡大していきます。重症例では左心室の収縮も悪くなります。左心房への逆流量が多ければ、肺の血管までむくんできます。腱索断裂、感染症や弁のずれなどが僧帽弁閉鎖不全症の原因となってきます。ただし、軽症の僧帽弁閉鎖不全症は非常に多く認めます。エコーをすれば10人中5人ぐらいは軽度の僧帽弁閉鎖不全症が見つかりますが、軽症僧房弁閉鎖不全症の病的意義はありません。中等症で、心不全や不整脈があれば薬物治療を行います。重症になれば、弁置換術や弁形成術が必要になります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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