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聴診器

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月報 「聴診器」 2017/06

月報 「聴診器」 2017/06/01

5月は晴れた日が多く行楽や運動会にはよかったようですね。ただし、光化学オキシダントや黄砂が多い日もあったようです。僕も犬の散歩をしたあとに咳が止まらなくなり息をするたびにヒューヒュー鳴り出してしまいました。久しぶりに喘息の発作が出たようです。慌てて吸入をして薬を飲みました。発作の予防のためには、きちんと吸入を続けなくてはいけませんが、ついついさぼってしまっていた処に大気汚染がぶつかったのが悪かったようです。油断してはだめですね。

 

24 心不全①  心不全とは

これまで、いろんな心臓の病気の話をしてきました。心筋梗塞や弁膜症、心筋症でさまざまな症状が出ます。その中で特に問題となるのは心不全と突然死です。今回から、この心不全について説明していきます。

心臓は筋肉でできたポンプになっています。このポンプは二つの重要な役割をしています。ひとつは静脈から還ってきた血液を受け取る役割です。もうひとつは、心臓から全身に血液を送り出す役割です。心臓には部屋が4つあります。右心房、右心室、左心房、左心室です。右心房と左心房は心房と呼ばれる補助的なポンプで心室に血液を送る役割をしています。右心室と左心室はメインポンプとして働きます。血液は心臓から全身に送られ、体に栄養や酸素を届けた後、静脈を通って心臓に帰ってきます。心臓ではまず右心房に血液が集められます。ついで、右心房から右心室に運ばれます。血液は右心室から肺動脈を通って肺に届き、肺で酸素をたっぷり吸って肺静脈から左心房に還ってきます。そして左心房から左心室に行き、左心室から全身に送られます。心房は隣の心室に血液を送る役目だけので、薄い壁でできています。心室は動脈に血液を送り出さなければならないので壁は厚くなります。特に左心室は、全身に血液を送らなければならない最も重要な部屋であり、壁の厚さも1cm程度あります。一般的に「心臓の動きがいい」「心臓が止まった」というときはこの左心室のことを表しています。

心臓の働きが悪くなれば、血液の流れに支障が出ます。心臓が血液を受け取る役目が衰えてくると、肺や全身の血液が心臓に還ってきにくくなります。静脈が拡張し圧力も高くなってきます。すると、血管から水分が回りに染み出してきます。顔や足に水分が染み出せば、「むくみ」となります。肺に染み出せば「肺水腫」となります。この状態を「うっ血性心不全(Conjunctive Heart failure: CHF)」と言います。

心臓が血液を送り出す力が弱ると、全身の臓器に血液が不足します。四肢の血流が不足すれば、手足が異常に冷たくなって色が悪くなります。頭の血流が不足すればフラフラします。腎臓の血流が不足すれば尿が少なくなります。ひどい場合には、冷や汗が出て身の置き所の無いきつさに襲われます。これらを「低心拍出量症候群(Low Output Syndrome :LOS)」といいます。

正常な心臓でも、処理すべき水分量が過量だとうっ血が起こり、水分量が少なすぎると低心拍出量となります。ただし、正常な心臓では処理可能な水分量の範囲が広く、少々のことではどうもありません。一方、病的な心臓では適正な水分量の範囲が狭く、容易に心不全を起こします。病態に応じた適切な水分量を考えて治療を行っていきます。うっ血性心不全と低心拍出量症候群は別々に起きる場合もありますが、同時に起こることもあります。この場合は治療に大変苦労します。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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