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聴診器

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月報 「聴診器」 2017/09

月報 「聴診器」 2017/09/01

今年の夏は暑さが長く続きます。ところが、テレビでは雨が多くあまり暑くないような話題が多く違和感を持ちます。全国ネットといっても、関東ローカルニュースが多いためでしょう。

8月終わりには人間ドックを受けてきました。他の病院のシステムを垣間見えるいい機会になりました。また、検査を受ける側になってわかることも多く、良い経験になりました。

 

24 心不全④  心不全の治療

心不全を思わせる症状があり、検査で心不全とわかれば次は治療です。心不全の治療について大事なのは急性期の治療と慢性期の治療を区別することです。まずは急性期の治療から説明しましょう。

心臓の機能が衰え、心臓や肺が浮腫んでくると、呼吸困難が出てきます。少し体を動かしてもゼーゼーしたり、息苦しくて寝れなくなってきます。急性心不全です。急性心不全の治療では、まず心機能が低下している原因を治療することが重要となってきます。心機能低下の原因が急性心筋梗塞であれば、カテーテル検査をして早急に血行再建を行います。もし、原因が不整脈であれば投薬をしたり電気ショックをしたりします。また、もともと心機能が低下している場合に、体が無理をして急性心不全を起こすことがあります。このときにも体が無理をしている原因の治療が大事になってきます。たとえば、感染症がきっかけで心不全を発症した場合には抗生剤が必要ですし、貧血があればその治療をします。何より安静が一番大事です。

次に大切なのは酸素です。心不全時には肺が浮腫むため血中酸素含有量が低下します。心不全時には組織の血流が低下しますのでこれは大問題です。そこで、急性心不全の治療ではできるだけ血中酸素含有量をあげるようにします。指にはめて酸素濃度を測定する機械をよく目にすると思います。これは酸素濃度そのものを計っているのではなく、酸素化された赤血球の割合(酸素飽和度)を測定しています。この酸素飽和度が十分上がるように口や鼻から酸素を投与します。重症時には鼻に密閉したマスクを着けて、圧力をかけて酸素を送る場合があります。それでも十分な酸素量が確保できない場合は挿管して人工呼吸を行います。

急性心不全時には心臓のポンプ機能と体の水分バランスが崩れています。多くの場合はポンプ機能に比べて水分量が多すぎる状態になっています。この多すぎる水分が手足をむくませたり、肺にたまって呼吸困難を引き起こしたりします。多すぎる水分を出すためには利尿剤を使用します。利尿剤を投与しても尿が出ない場合には一時的に人工透析をします。透析ができない環境で急ぐ時には瀉血(血液を抜くこと)をする場合もあります。ただし、心機能が非常に低下している場合には、急に水分量を減らすと血圧が下がってショック状態になることもあるので注意が必要です。

心機能が非常に低下している場合には、強心剤を使用する場合もあります、最近は漫然とした強心剤の使用について反省されていますが、やはり急性期の治療には強心剤は強い味方となります。強心剤の代わりに補助ポンプを使用するときもあります。空気で広がる細長い風船を動脈に入れて補助ポンプにするのです。それでもだめなときには、体外式の補助ポンプを使用します。最重症例では一時的に体外式人工心肺を使用して心臓が動かなくても生きていける状態にします。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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