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聴診器

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月報 「聴診器」2005/8

月報 「聴診器」 2005/8/1

暑いですね。芝生の雑草がわらわらと伸びだして大変です。雑草って強いですね。見習いたいものです。

 

4弁膜症④ 感染性心内膜炎

弁膜症と密接に関係する病気が感染性心内膜炎です。感染性心内膜炎は心臓の中にばい菌がつく疾患で、重症感染症のひとつです。汚れた傷口があれば、血液にばい菌が入ることがあります。健全な状態であれば、このばい菌にたいして免疫機能が働き、ばい菌は速やかに駆除されます。しかし、抵抗力が弱っていたり、弁膜症があったりすれば、ばい菌は心臓に巣を作ってしまいます。ばい菌は心臓に巣を作るだけでなく、心臓の構造を破壊していきます。特に心臓の弁は、ばい菌が好む場所で、ばい菌の塊がつくと弁に穴が開いたり、弁をつないでいる紐(腱索)が切れたりします。その結果、急速に血液に逆流が進み、心不全となります。

熱がなかなか引かず、心不全を疑わせる症状のある患者さんがこられれば、僕たちは、感染性心内膜炎を疑います。聴診で心雑音があればなおさら感染性心内膜炎の可能性が高くなります。レントゲンや心電図、採血検査も重要ですが、まず行う検査は心エコーです。心エコーで血液の逆流や、弁の破壊を見ます。エコーで、ばい菌の巣(vegetation)が見つかれば診断は確実になります。ばい菌の巣が無くても、白血球が上昇し、血液の逆流があり、検尿で異常があり、他に肺炎など無ければ、やはり感染性心内膜炎を強く疑います。

感染性心内膜炎の治療は、原則、入院です。ばい菌の巣は血液の塊や繊維で出来ていて、ばい菌を殺す薬(抗生剤)が中に入り込みにくくなっています。このため、治療には多量の抗生剤を長期間使用する必要が出てきます。弁膜症が重症で、手術が必要な場合は抗生剤投与後、ばい菌がいなくなったのを確認してから行います。ただし、心不全がひどい場合や、後述の脳合併症を繰り返す場合には手術を早めに行う場合もあります。

心臓は全身に血液を送っている臓器ですので、心臓にばい菌がつくと、ばい菌は血液に混ざって全身に運ばれます。腎臓や脳にもばい菌は運ばれますが、特に心配なのが脳の血管です。脳の細い血管にばい菌がつくと動脈瘤を形成し最悪の場合、脳出血をおこします。また、心臓からばい菌の巣の一部がちぎれて流れてくると、脳の血管をふさいで脳梗塞を起こします。

弁膜症は感染性心内膜炎の原因となることもありますし、結果となる場合もあります。感染性心内膜炎は治療が遅れれば、様々な合併症が起こり予後不良となる疾患です。熱がでてなかなか下がらない場合、むくみや呼吸困難を伴う場合、抜歯や外傷後に熱が続く場合などは、感染性心内膜炎を疑って、医療機関を受診するようにしてください。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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