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聴診器

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月報「聴診器」6月号発行しました!

月報 「聴診器」 2023/06/01

今年の5月は比較的暑い日がすくなかった気がします。寒暖差が激しく体調を崩した方も多かったのではないでしょうか。5月末には早くも梅雨に入りました。最近は、梅雨の大雨で災害が起きることも多くなってきました。ハザードマップを見ると当院も水害の恐れがある地区になっているので、毎年気が気ではありません。電子機器類の場所を高いところに置く程度のことしか具体的な対策はとれないので、大雨が降らないことを祈るばかりです。

 

31 血管病変2 ③ 閉塞性動脈硬化症

前回は大動脈瘤の話をしました。動脈瘤は血管がふくれたり破けたりする病気です。血管病変では「狭くなる」「つまる」病態も存在します。心臓の血管が狭くなれば狭心症を起こしますし、脳の血管が詰まれば脳梗塞を起こします。手足の血管が狭くなったりつまったりすれば、閉塞性動脈硬化症と呼ばれる病気になります。閉塞性動脈硬化症は糖尿病、高血圧、高コレステロール血症を持つ人に多く見られます。喫煙も重要な危険因子です。喫煙者では閉塞性動脈硬化症のほかにバージャー病という小さな動脈が閉塞する病気も発症しやすくなります。

足の血管に閉塞性動脈硬化症がおこれば、足が痛くなります。典型的な例では、歩行を続けるうちに足が痛くなり、しばらく休むと痛みがなくなります。病気が進行すれば、痛くなるまでの距離や時間が短くなります。さらに進行した場合には安静時でも痛みが出現します。足の血管が狭くなると、足の筋肉に行く血流が低下します。病気の初期で血流低下がそれほどでもないときには、安静時や少しの歩行で消費する程度の血液は流れています。長く歩くと筋肉がたくさん動き血液がたくさん必要になりますが、血管が狭くなっているので相対的に血液不足なります。このため、足の筋肉が痛くなります。狭窄が高度になるほど血流は不足しますので、短い距離でも症状が出現することになります。狭窄がさらにすすめば、安静時の筋肉を養う程度の血流も確保できなくなり、安静時でも痛みが出現することになります。時には皮膚に潰瘍ができることもあります。血管が完全に閉塞してしまうと、筋肉が死んでしまい真黒になります。これは壊疽と呼ばれます。ただし、大きな血管が完全に詰まっても、細い血管がバイパスとして存在し、細々と組織を養い壊疽とならない場合もあります。痛みはなくとも、足が冷たい、片足だけ白いなどの所見で見つかる場合もあります。手や肩の血管が狭くなることもありますが、足の場合に比べて症状が出にくいようです。

症状から閉塞性動脈硬化症を疑った場合には検査をします。まずは、ABIを計測します。ABIは手足の血圧を同時に測り、血圧の比を調べる検査です。たとえば、右足の血管が細くなっていれば、右足の血圧だけが低くなります。この検査で血管の狭窄が疑われれば血管造影をします。以前はカテーテルでの検査が主流でしたが、今は三次元CTを使うことが多いようです。

血管の狭窄や閉塞が確認されれば治療を行います。薬物での治療では、血液を固まりにくくする薬や、末梢の動脈を拡げる薬を使用します。もちろん動脈硬化そのものの治療が一番大事なので、糖尿病や高血圧の治療もしなければなりません。当然、たばこは禁止になります。非薬物治療では、カテーテルでの治療が主流になってきています。カテーテルで病変にアプローチし、細い風船を血管の狭窄部に通し、圧力をかけて風船を膨らませます。その後、ステントという金属の網を挿入しで再狭窄を防ぎます。カテーテル治療した後も内服加療は継続します。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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