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聴診器

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月報「聴診器」10月号発行しました!

月報 「聴診器」 2021/10/01

菅総理が退任し岸田総理となるようです。菅総理についてはいろいろ不満の声が多かったのは事実ですが、新型コロナウイルスワクチンについては功績が大きかったと思います。いち早く、国民全員が2回打てる分だけのワクチンを確保したこと、異例のスピードで承認したこと、一日100万回の大号令でワクチン接種を強力に推し進めたことなどは評価されるべきと思います。特にワクチン接種は、慣例を覆す強引さで接種回数を増やしました。これまでの政権ではありえなかったことと思います。厚労省だけに任せていたとしたら、ワクチン接種率は今の半分以下しか達成できず、第五波ではもっと多くの方が亡くなったはずだと思います。新しい政権も、慣習にとらわれず優先事項をはっきりさせて新型コロナ対策を進めてほしいと思います。

当院のインフルエンザワクチンは10月4日から予約を開始し10月25日から接種予定です。予約はインターネットか専用回線での自動案内になります。通常の電話での予約はできませんのでご了承ください。今年は全国的にインフルエンザワクチンの供給量が少なく当院でも例年の8割程度しか確保できませんでした。今シーズンはインフルエンザが流行する可能性は低いと思いますが、ご希望に添えない方が出てしまうことは大変申し訳なく思います。

 

28 糖尿病2 ⑧糖尿病と心臓 心不全

糖尿病では心臓病の合併が多いとの話をしています。前回は、動脈硬化の進行による狭心症や心筋梗塞の説明をしました。心筋梗塞を起こせば心機能が低下して心不全を来しますが、たとえ冠動脈疾患がなくても糖尿病では心不全の合併が多いことが最近話題になっています。糖尿病患者さんの30%が心不全を合併していると言われています。また、糖尿病の罹患期間が長いほうが心不全の発症リスクが高くなります。逆に心不全患者さんでは糖尿病の発症リスクが高いことも分かっています。糖尿病患者さんでは、直接的に心筋が障害されてDMCMP(Diabetes mellitus-related cardiomyopathy)という病態になると考えられています。

DMCMPには二種類あり、左室収縮が低下してしまうタイプと左室収縮は保たれてはいるものの心臓が固くなってしまうタイプがあります。成人に多いⅡ型糖尿病では後者の心臓が固くなるタイプが多いと言われています。確かに糖尿病患者さんの心エコーを見ていると、心臓の壁が厚くなったり、固さの指標が低下していることが多いようです。なぜ、糖尿病で心臓が固くなるかについては、高血糖や脂肪酸代謝、インスリン抵抗性、微小血管障害がその原因ではないと言われています。また、一部では膵臓から分泌されるアミリンという小さな物質が多くなると自然に重合して固まり心臓に沈着するためではないかと言われています。アメリカのDespa医師らは、糖尿病で心不全を呈している人の心筋からアミリンの重合体を検出しており、僕は十分説得力のある意見だと思っています。

DMCMPの治療や予防は確立していません。治療については、標準的な心不全治療が推奨されています。まずは、血圧と糖尿病のコントロールや減塩などの食生活の改善が大切です。最近では、SGLT2阻害薬という薬が、治療に有効であることが分かってきています。先日の欧州心臓病学会でも、dapagliflozinが心臓が固いタイプの心不全にも有効との報告がされていました。また糖尿病患者さんの心不全発症予防効果もあるのでないかとも示唆されています。

 上野循環器科・内科医院  上野一弘

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