• お気軽にご来院・ご相談ください。
  • FAX:0940-33-3614
  • 福岡県宗像市須恵1丁目16-19

聴診器

choushinki

MENU

月報「聴診器」2月号発行しました!

月報 「聴診器」 2023/02/01

ここ数年はコロナの対応に明け暮れた日々を送っています。しかし、だからと言って他の疾患が無くなったわけではありません。当院は循環器科クリニックですので心筋梗塞や心不全の方も多く来られます。僕はどうやって心筋梗塞の発症を予防し心不全をコントロールするかを主に考えていますが、実は心臓病で亡くなる方よりも癌で亡くなる方のほうが多数です。悪性疾患の早期発見のためには上下消化管内視鏡検査やCT検査が有用ですが、残念ながら当院ではこれらの検査ができません。必要性があるときは他院を紹介するようにしていますが、もしかすると充分ではないかもしれません。

今年から待合室に、医師会病院の健診センターと水光会病院の人間ドックの案内のパンフレットを置きました。「そういえば、最近検査を受けてないなー」という方は是非検討してみてください。

30 脳卒中2 ⑨脳梗塞の予防

前回は脳梗塞の急性期の治療について説明しました。今回は予防の話です。脳梗塞には大きく二種類あります。脳血管の動脈硬化が原因で血管がつまるものと、心臓が原因で血管が詰まるものです。

脳血管の動脈硬化が原因の場合は、再発予防のために抗血小板剤という薬を飲んでもらいます。血液は血管の中で流れているときには固まることはありません。しかし、異物があったり、流れがよどんだりすると固まる性質があります。動脈硬化を起こした血管では、血管の壁にコレステロールの塊がこびりついています。血液は、このコレステロールの塊を異物と認識し、血小板が固まり、血栓を作ります。抗血小板薬はこの血小板が固まる性質を阻害するものです。

抗血小板薬の投与とともに大事なのは、動脈硬化そのもののコントロールです。進んでしまった動脈硬化はもとには戻りませんので、動脈硬化の進行を抑えるのが治療の目的となってきます。動脈硬化は、加齢・喫煙・高血圧・糖尿病・高コレステロール血症で進みます。このうち、加齢についてはできることはありません。昔は、「血圧の下げすぎはよくない」との説がありましたが、今ではこの説が間違っていたことが証明されています。130/80mmHg以下でコントロールできれば、脳梗塞の再発が減ることが分かっています。もちろん、糖尿病のコントロールや悪玉コレステロールを下げることも大切です。タバコは当然、やめてください。

動脈硬化がとても強く、大きな血管が詰まりそうな時には手術を勧める場合もあります。血管壁にこびりついたコレステロールの塊を除去する手術がよく行われます。最近では、ステントという金網を使用して血管を広げる方法が多くなってきました。エコーなどで検査して、血管の断面の75%以上が詰まってくれば、手術を検討します。

心臓が原因で血管が詰まる場合は、心房細動という不整脈がある場合や弁膜症の手術をして機械弁が使用されている場合です。静脈からの血栓が心臓の穴をすり抜けて脳梗塞を起こす「奇異性塞栓」もこのグループに入ります。この場合の治療は抗凝固薬を使用します。抗血小板薬と同じように血液が固まるのを抑える薬ですが、凝固因子というたんぱく質の働きを阻害します。心房細動による脳梗塞を防ぐためには、抗凝固療法だけでなく、カテーテルで心房細動の治療を行ったり、左心耳に血栓ができにくい器具を入れることもあります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

発熱や風邪症状のある方は、来院前に電話でご連絡をお願いします。

お電話
WEB予約