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聴診器

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月報「聴診器」4月号発行しました!

月報 「聴診器」 2022/04/01

新型コロナ感染症の第6波は全国的には2月にピークを越えましたが、再び増加に転じています。宗像地区では十分に感染者が減らないまま増加のフェーズに入ってきています。まん延防止等重点処置が終わり、卒業や花見のシーズンを迎えることからさらに増加する恐れがあります。第7波というよりも延長第6波という感じです。医療者側は、正直もう疲れてきました。皆さんもそろそろ学習して大人数での会食をやめてくれないでしょうか。

新型コロナウイルスワクチン3回目接種は、希望者が減少傾向にあるため、行政も接種体制を縮小しています。当院もコールセンター経由での接種は4月中旬に終わる予定です。

 

29 脂質異常症2 ⑤治療

前回から、脂質異常症の治療について説明しています。高コレステロール血症があれば動脈硬化病変が進み、心筋梗塞などが増えてしまいます。ただし、高コレステロール血症の人全員が心筋梗塞を発症するわけではありません。海外のデータでは5年間で40%の人が心筋梗塞や狭心症を発症することがわかっていますが、逆に言えば深刻な事態にならない人も多いのです。こうした動脈硬化疾患の発症には、コレステロールの値だけでなく、他の因子が重要であることが分かっています。他の因子とは①性別、②人種、③家族歴、④他の疾患、⑤喫煙です。性別については、圧倒的に男性が不利です。女性は男性に比べて動脈硬化が進みにくいことが知られていますが、これは女性ホルモンが関係していると言われています。実際、閉経前の女性が心筋梗塞を起こすことは非常にまれです。ただし、閉経後は女性ホルモンが減少するためこのメリットは失われてしまいます。人種については、アジア人は欧米人種に比べて動脈硬化疾患が少ないです。これは、遺伝的素因に加えて食文化の影響もあるようです。家族歴も非常に重要です。コレステロールの値そのものも遺伝的影響を受けますが、同じコレステロール値でも家族に動脈硬化疾患を有している人のほうが、心筋梗塞や狭心症を発症しやすくなります。他の疾患としては、高血圧、糖尿病などがあります。これらの疾患があれば動脈硬化が早く進むため、コレステロールのコントロールはより厳格に行う必要があります。喫煙者ではコレステロール値が低くても動脈硬化が進んでしまいます。悪玉のLDLコレステロールが酸化されて酸化LDLコレステロールという超悪玉に変化するためと言われています。喫煙+高コレステロール血症ではコレステロール値を下げるだけでなく禁煙も絶対に必要になります。

これらの要因は単独でも十分危険性を増すのですが、重なれば重なるほど危険性が高くなります。特に糖尿病と家族歴は重視したほうがいいと思います。逆に若い女性でほかに疾患がなく家族歴もなければ、あまり心配はいらないかもしれません。

以上の話はあくまで、狭心症や心筋梗塞を発症したことがない患者さんの場合です。すでに冠動脈に動脈硬化が進んで心筋梗塞や狭心症を発症してしまった人は、厳格にコレステロール値をコントロールすべきでしょう。すでに冠動脈疾患を発症した人は、「動脈硬化が進みやすい状態」であることを身をもって実証しています。カテーテル治療などで狭窄部位や閉塞部位を拡げても「動脈硬化が進みやすい状態」は残ったままなのです。この状態は、遺伝的素因や生活習慣、加齢などにも影響を受けたものですが、コレステロールを下げることで大幅に改善することが分かっています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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