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聴診器

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月報「聴診器」8月号 発行しました!

月報 「聴診器」 2018/08/01
7月の豪雨では多数の方が被災されました。昨年の九州北部豪雨も記憶に強く残っている中での再びの災害に、胸が痛くなります。一転その後は猛暑が続きました。全国で熱中症が増加し、死者もでています。当院でも多数の熱中症の治療を行いました。多い時は1日10人程度の点滴を行っていました。他の医療機関に聞いても今年は特別に多いそうです。
逆走台風からは暑さも少し和らぐようですが、8月も何が起きるか分かりませんね。

25 先天性心疾患⑦
前回までは、先天性心疾患の代表的なものを数種説明してきましたが、先天性心疾患はほかにも多くの種類があります。ひとつひとつは非常にまれですが、種類が多くなると遭遇することも多くなります。今回は残りの疾患をできるだけ説明します。
・心内膜欠損症:心房と心室に大きな穴が開いている病気です。右心房右心室から左心房左心室へ大量の血液が流れてしまいます。21トリソミーなどの染色体異常に合併しやすいことが知られています。完全型と不完全型があり、完全型は早期の手術が必要です。
・総肺静脈還流異常症:左心房につながるべき肺静脈が、上大静脈などにつながってしまう疾患です。心不全やチアノーゼをきたすため、早期の手術が必要です。
・三尖弁閉鎖:右心房と右心室の間に三尖弁という弁があります。この弁が、生まれつき閉じている病気です。右心房から右心室に血液が流れませんのでこのままでは生存は不可能です。多くは、心房中隔欠損症と心室中隔欠損症を合併しており、この穴を通じて血液がなんとか流れている状態になります。ほとんどの症例で右室低形成を合併しており、フォンタン手術が行われます。
・エブスタイン奇形:三尖弁の一部が右心室に偏っている病気です。三尖弁がずれているため、大きな逆流があります。また、右心房が非常に大きくなるため、特徴的なレントゲン写真になります。心房頻拍症やWPW症候群などの不整脈を合併することでも知られています。大人になって初めて診断されることもあります。
・両大血管右室起始:大動脈と肺動脈が右心室から出る疾患。チアノーゼ、右室不全を呈します。
・大血管転位:大動脈が右心室から、肺動脈が左心室から出ている病気です。生後数日は動脈管を介して血液が流れますが、動脈管が閉じてしまうと急速に悪化します。このためプロスタグランジンという薬を投与して、動脈管が閉じてしまわないような処置をします。心房中隔欠損がない症例では急速に状態が悪化しますので、人工的に心房中隔に穴を開けることもあります。手術を受けない場合は90%が死亡するため、早めの手術が必要とされます。
・修正大血管転位:大血管転位と同じく、大動脈と肺動脈が右心室から出る疾患です。ただし、心房―心室間でもスイッチしていますので、静脈血は右心房から解剖学的左室(機能的右室)>>肺動脈と流れます。動脈血は左心房から解剖学的右室(機能的左室)>>大動脈と流れます。血流は一見正常と同じように修正されていますので、修正大血管転位と呼ばれます。症状がないこともありますが、解剖学的右室が体循環をつかさどっていますので、そのうちその仕事量に堪えられなくなります。そうなれば心不全を起こします。できるだけ血圧を下げて、解剖学的右室(機能的左室)を長持ちさせる必要があります。
上野循環器科・内科医院  上野一弘

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