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  • UP通信 2016/11月号

  • 月報 「聴診器」 2016/11

    月報 「聴診器」 2016/11/01
    10月29日に心臓リハビリテーション学会九州地方会が行われました。多くの医療機関が参加し、興味深い講演もありました。当院でも研究結果を発表しています。僕は診療があったので、講演は心リハ主任さんにお願いしました。お疲れ様でした。クリニックで本格的に心臓リハビリテーションを行っているところは珍しいので、興味を持ってもらえたようです。
    22 弁膜症2 ④弁膜症の症状や検査
    前回まで、弁膜症のあらましについて説明しました。では、弁膜症の患者さんはどうやって診断されるのでしょう。まさか、「私は大動脈弁狭窄症です」と言って患者さんが来られるわけではありません。弁膜症そのものの特異的な症状はありません。多くは、心不全や不整脈の症状を呈して来院されます。息が苦しい、足がむくむなどは心不全を疑わせる症状です。診察時に聴診で雑音が聴取されると弁膜症による心不全の可能性が高いです。心電図は、弁膜症に特異的な変化はなく、頻拍や心負荷所見を呈することがあります。胸部レントゲン写真では心臓が大きくなっていたり、肺が浮腫んでいる所見がみられることがあります。しかしながら、これらの所見も弁膜症に特異的なものではありません。やはり、弁膜症診断の主役はエコーになります。
    心エコーでは超音波を利用して、心臓の構造や動きが見ることができる検査です。弁の動きもよく観察することができます。弁が正常の構造をしているのか、硬くなっていないかを観察できます。弁の動きを観察すれば、弁が開放すべき時にちゃんと開放しているのか、閉じるときに弁尖がずれずに閉じているかを見ることができます。弁の開放が不十分な時には、弁口面積を測定し、重症度の指標にすることもできます。また、エコーではドップラーという機能が付いています。これは血流を見ることができる検査方法です。カラードップラー法では近づく血流を赤、遠ざかる血流を青で表示します。こうすると、心臓の血流をリアルタイムで観察することができます。僧房弁では左心房から左心室に向かう血流を観察することができますが、収縮期に左心室から左心房に流れる血流が見つかれば、逆流と判断できます。大動脈弁では左心室から大動脈に向かう血流が正常で、大動脈から左心室に流れる血流が逆流になります。ドップラー検査では血流速度もわかります。血流速度がわかればおおよその圧較差もわかります。例えば、大動脈弁狭窄症では重症なほど、左心室と大動脈の圧較差が広がり、左心室内圧が高くなってきます。ドップラー法を使用すれば、圧較差を測定することができ、重症度の判定を行うことができます。
    最近ではMRIで弁膜症の診断をする施設も増えてきました。MRIではエコーと同じように、血流や心臓の動きを見ることができます。心エコーでは限られた断面でしか、心臓を観察をすることができませんが、MRIでは任意の断面で観察することができます。ただし、検査に時間とコストがかかるのでどの症例にも行う検査ではありません。
    昔から行われているのはカテーテル検査です。カテーテルを使用して、心臓内部の圧力を測定し重症度を判定します。造影剤を左心室に入れると、心臓の動きがわかります。また、僧房弁に逆流があれば左心房まで造影されますので、逆流の程度もわかります。大動脈造影を行えば、大動脈弁閉鎖の重症度がわかります。心拍出量や、冠動脈造影も行います。ただし、最近は心エコーやMRIだけで重症度判定を行い、手術をする場合は冠動脈検査だけをする場合もあります。
    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • UP通信 2016/10月号

  • 月報 「聴診器」 2016/10

    月報 「聴診器」 2016/10/01
    急に涼しくなりましたね。過ごしやすくなってきましたが、感染症が増えてきています。早くもインフルエンザの患者さんを数人診ました。マイコプラズマ肺炎も、ちらほらいらっしゃいます。皆さんも用心してください。
    当院の看護師さんが「心臓リハビリテーション指導士」の資格を修得しました。合格率30%の難関を突破しての結果です。とても誇らしいことと思います。パチパチパチ。当院の心臓リハビリテーション施設もより充実したものになるだろうと期待しています。
    22 弁膜症2 ③大動脈弁疾患
    今回は大動脈弁の病気です。大動脈弁は左心室と大動脈の間にある弁です。左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには大動脈弁は開きます。開いた大動脈弁を通って血液は大動脈に流れます。逆に、左心室が拡張している間は大動脈弁は閉まります。拡張期に血液は左心房から左心室に流れますが、大動脈から左心室に血液が逆流しないように大動脈弁は閉じる必要があります。大動脈弁は三枚の弁で構成されていて、閉じたときにはお尻のような形になり、弁尖がピッタリと合わさります。
    この大動脈弁が固くなり、あまり開かなくなることがあります。これを大動脈弁狭窄症と言います。大動脈弁の開きが悪く、血液の通り道が狭くなってしまいます。左心室が収縮しても血液が大動脈にスムーズに流れなくなってきます。心臓の出口が狭くなっていますので、左心室の中の圧力と、大動脈の圧力に差が出てきます。細いストローで息を吹くような感じです。すると、左心室に大きな負担がかかりますので、左心室の壁が厚くなってきます。狭窄がひどくなれば、左心室は疲れきってしまい心不全や、突然死をきたすこともあります。また、左心室の中より血圧は低くなりますので、ひどい場合には頭の血流が低下して失神をしたりもします。
    大動脈弁狭窄症の原因はいろいろあります。子供のころのリウマチ熱によるものや、高血圧なども原因となります。加齢は最も多い原因の一つで、高齢になるほどこの病気は増えてきます。軽症であれば、心臓の負担をとるような薬を使用します。重症であれば、手術をする必要があります。
    大動脈弁の閉じが悪くなる病気もあります。大動脈弁閉鎖不全症と言います。左心室が収縮して血液を大動脈に送っても、拡張期に大動脈弁が閉じないので、大動脈から左心室に血液が戻ってきてしまいます。たとえば、左心室が100mlの血液を送り出しても、50mlが逆流してしまうのです。左心室には、左心房から来る血液と、大動脈から逆流してくる血液が流入してきますので、左心室はどんどん大きくなってきます。沢山の血液を送り出さなければならないので心臓はそのうち疲れてしまいます。大動脈弁閉鎖不全症も重症になれば、失神、心不全、突然死をきたします。
    大動脈弁閉鎖不全症の原因もいろいろあります。高血圧や、加齢も大きな原因です。そのほかにも、大動脈が進行性に拡張する病気(AAE)や動脈瘤、大動脈炎症候群、大動脈二尖弁なども大動脈弁疾患の原因となります。
    治療は、軽症では薬物療法を行い、重症であれば手術を行います。ただし、左心室の機能があまりにも悪くなると手術が難しくなるため、僧帽弁疾患より、やや早めに手術をする必要があります。手術は弁を取り替える、弁置換術が主流ですが、最近は可能であれば弁を修復する手術も多くなってきています。                    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • UP通信 2016/9月号

  • 月報 「聴診器」 2016/09

    月報 「聴診器」 2016/09/01

    今年の夏は本当に暑かったですね。2か月にわたり猛暑が続き、雨もほとんど降りませんでした。僕が子供とプールや海に行ったときには、熱中症で倒れていた方に何度か遭遇しました。当院にも多くの方が熱中症で来院されました。全国で救急搬送された熱中症患者は4万人におよんでいます。災害といっていいレベルだったと思います。残暑が厳しくないことを願うばかりです。引き続き、クーラーの使用をお勧めします。

    22 弁膜症2 ②僧房弁疾患

    前回は、弁膜症についてその概要をお話しました。心臓には、逆流を防ぐために弁が4つあります。それぞれの弁が不調になると弁膜症になります。今回は、左心房と左心室の間にある僧帽弁の病気について説明します。

    僧帽弁は、左心房が収縮して左心室に血液を送るときに弁が開いて血液が流れるようになります。次に、左心室が収縮して血液を大動脈に送るときに、僧帽弁は閉じて血液が左心房に逆流するのを防ぎます。いろいろな原因で僧房弁が固くなってくると、僧帽弁の開放が悪くなります。左心房が収縮しても僧房弁が十分に開放しないと、「僧帽弁狭窄症」という病気になります。

    僧帽弁狭窄症になると左心房から左心室へ血液がスムーズに流れず、左心房の圧力が高くなってきます。左心房の圧力が上がってくると、左心房が腫れてきます。左心房の腫れがひどくなると、肺もはれてきて息苦しくなります。これはうっ血性心不全の状態です。また、左心房に負担がかかると、不整脈がよく出るようになります。僧帽弁狭窄症に合併する不整脈の代表は心房細動です。心房細動では左心房内に血栓を作り、その血栓が飛んで脳の血管に詰まると脳梗塞を起こします。僧帽弁狭窄症では左心房が大きくなっているため、血栓がよりできやすくなります。軽症の僧帽弁狭窄症では、内服薬で心不全や不整脈、血栓症のコントロールを行いますが、重症例では手術が必要になってきます。手術は、心臓を切り開いて弁を修復したり、人工弁に取り替えたりします。

    逆に僧帽弁の閉じ方が悪くなってしまう病気もあります。僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症では左心房から左心室に血液が流れるときには、ちゃんと弁が開きますが、左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには、血液が左心房に逆流してしまいます。左心室が収縮するときには、強い力がかかり、左心室内は高圧になります。本来ならば、僧帽弁がこの圧力に負けないように、きちんと閉じて血液の逆流を防いでいます。しかし、僧帽弁閉鎖不全症では僧帽弁がきちんと閉じないため、圧力の高い左心室から圧力の低い左心房に血液が逆流してしまうのです。逆流量が多ければ、やはり、左心房に負担がかかり、左心房が拡大します。また、結果的に左心房から左心室へ行く血液も多くなりますので左心室も拡大していきます。重症例では左心室の収縮も悪くなります。左心房への逆流量が多ければ、肺の血管までむくんできます。腱索断裂、感染症や弁のずれなどが僧帽弁閉鎖不全症の原因となってきます。ただし、軽症の僧帽弁閉鎖不全症は非常に多く認めます。エコーをすれば10人中5人ぐらいは軽度の僧帽弁閉鎖不全症が見つかりますが、軽症僧房弁閉鎖不全症の病的意義はありません。中等症で、心不全や不整脈があれば薬物治療を行います。重症になれば、弁置換術や弁形成術が必要になります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • UP通信 2016/8月号

  • 月報 「聴診器」 2016/08

    月報 「聴診器」 2016/08/01

    急に暑くなったためか、熱中症が増えています。原稿を書いている時点では夜はまだ涼しいのですが、今後はさらに暑くなるでしょう。熱中症予防のために水分摂取はよく言われています。時々、びっくりするのはクーラーをかけない方が意外と多いことです。クーラーが体に悪いとか、電気代がかかるなどの理由で我慢している方もいるようです。高齢になってくると熱さに鈍感になってしまい、クーラーをかけないこともあるようです。中には、クーラーがない、配管用の穴がないのでクーラーをつけられないと話してくれる方もいらっしゃいました。

    熱中症のため毎年1000人前後の方が亡くなっています。予報では今年は最も暑い夏になるそうです。クーラーは非常に効果的な熱中症対策になりますので、是非、有効な使用を勧めます。

    22 弁膜症2 ①心臓の弁

    今回からは、弁膜症の話です。弁膜症も、狭心症や心筋梗塞と同じぐらいよくある病気ですが、全く問題の無いものからすぐに手術が必要なものまで、重症度がさまざまです。

    心臓は筋肉で出来た袋のような構造になっています。この袋が、収縮をしてポンプのように血液を送り出しています。心臓には部屋が4つあり、それぞれ右心房、右心室、左心房、左心室と呼ばれています。血液は、静脈から心臓に帰ってきます。静脈血はまず、右心房に入り次に右心室に送られます。右心室からは肺動脈が出ており、血液はここを通って肺に行きます。血液は肺で酸素を十分取り込み動脈血となります。酸素を取り込み、動脈血となった血液は左心房に入り込み、次いで左心室に送られます。左心室からは大動脈が出ており、ここから全身に血液が送られます。

    血液はこの経路を一定方向に流れています。そのため、心臓には弁がついており血液が逆流しないようになっています。心臓には4つ弁があり、右心房と右心室の間には三尖弁があり、右心室と肺動脈の間には肺動脈弁があり、左心房と左心室の間には僧房弁があり、左心室と大動脈の間には大動脈弁があります。たとえば、僧房弁では、左心房が収縮して左心室に血液を送るときは、弁が開いて血液が流れるようにします。次に、左心室が収縮して血液を大動脈に送ります。このとき、僧房弁が閉じて血液が左心房に逆流するのを防ぎます。このように、心臓は4つの弁がきちんと開いて、きちんと閉じることで効率よく動いているのです。しかし、この弁が何らかの原因で、しまりが悪くなったり、開かなくなったりすると、心臓が効率よく動かなくなり、ひどい場合には心不全を起こします。弁膜症は軽症の場合は、経過観察で十分ですが、中等症以上になれば薬で心臓の負担を軽くする必要があります。重症の場合には手術が必要となります。

     

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • UP通信 2016/7月号

  • 月報 「聴診器」 2016/07

    月報 「聴診器」 2016/07/01

    最近、薬の安全性について質問を受けることが多くなってきました。自分が受ける医療について関心を持つのは大変良いことだと思います。ただし、今回は週刊誌による「反医療キャンペーン」による不安がきっかけのようです。確かに、薬は100%安全ではありません。副作用は100分の1程度起こります。重大なものに限れば1000分の1以下です。逆に言えば、ほとんどの人に副作用は出ません。しかし、雑誌ではすべての人に副作用が出るような論調で不安を煽っているようです。これは、間違った行為です。

    雑誌で糾弾されている薬の中には、数千万人の心筋梗塞の発症を抑え、命を救った薬があります。今回の件で、多くの人が薬を自己中止し、寿命を縮めるのではないかと危惧しています。

    21 心筋梗塞2 ⑥退院、通院

    心筋梗塞で入院し、緊急カテーテル治療、CCUでの急性期を乗り切れば、一般病棟に移動します。一般病棟ではモニターもはずれ、徐々に行動制限が解除されます。食事も普通食に移行しています。ただし、心筋梗塞発症前の食事に戻るわけではありません。塩分やカロリー、脂質を制限された食事が提供されます。心筋梗塞発症後は心不全のリスクが高いので塩分制限が必要です。また、高脂血症などを合併していることが多く、脂質やカロリーの制限も必要になってきます。数日おきに採血検査や心電図検査を行い、経過が順調かどうかを見ていきます。リハビリテーションも開始します。最初は歩行からはじめ、徐々に負荷を増やしていきます。病棟ではもちろん禁煙です。病状によりますが、だいたい2週間程度で退院になります。

    退院後は通院を続けます。継続的に薬を飲む必要があり、定期的に検査もしなければなりません。薬は、心筋梗塞の再発を予防する薬、心不全を治療する薬、合併症の治療薬などが投与されます。抗血小板薬は、動脈硬化を起こした血管に血栓ができるのを予防する効果があります。皮下出血や、胃が荒れることがありますが、心筋梗塞再発予防効果があります。また、急性期の治療で冠動脈にステントを入れた場合は、ステントに血栓がつきやすいので、抗血小板薬は必ず飲まなければなりません。コレステロールを下げる薬は動脈硬化の進行そのものを抑制します。再発予防のためにはLDLコレステロールは100以下を目指します。血圧のコントロールも大切なので、降圧薬も投与します。心機能が低下した症例では、心臓を保護する作用があるような降圧薬を選びます。糖尿病があれば、その治療も行います。大切なのは生活習慣を変えることです。退院して当初はきちんとした生活をしていた人も、のど元過ぎれば熱さを忘れるのでしょうか、以前のような不健康な生活に戻ってしまう人が少なくありません。過食、運動不足、喫煙、過度の飲酒は自ら心筋梗塞再発のリスクを上げ、命を縮める行為です。タバコは絶対にやめなければなりません。運動療法も大切です。通院先に施設があれば、心臓リハビリテーションを行ったほうが良いでしょう。

    数か月外来で通院したら、もう一度、冠動脈造影を行います。ステント治療した部位の確認、他の動脈硬化病変の進行具合の確認を行います。再狭窄や新規病変があれば再度治療を行います。

    心筋梗塞になっても無事退院し、日常生活をとり戻せたことは素晴らしことです。しかし、見えないところに病変は存在したままであり、動脈硬化は進行するものです。一生、付き合う必要があると思ってください。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

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