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  • UP通信 2016/6月号

  • 月報 「聴診器」 2016/06

    月報 「聴診器」 2016/06/01

    熊本では地震が続いていますが、少しずつ日常生活が戻ってきているようです。ただし、「衣食住」の「住」が損なわれ、生活再建の見通しが立てられない方も多いようです。

    現地で奮闘された先生方の話を聞くと、その場の判断で動かざるを得なかったことが多かったそうです。刻々と変わる状況に対して、手探りで方針を立てながら対応したそうです。納得したのは、「想定外のことは必ず起こる」との言葉でした。いろいろな状況を考えておくことは大切ですが、想定外が起きたときの判断に生かせるように、地域の情報を知っておくことが大切だと思いました。

    21 心筋梗塞2 ⑤CCU

    心筋梗塞は原則的には入院加療を行います。診断がつけばほとんどの症例でカテーテル検査が行われ、可能であれば冠動脈形成術を行い、血行動態が不安定であれば補助人工心肺を使用します。

    その後はCCUに入院します。CCUはCoronary Care Unitの略で心疾患専用の集中治療室です。心筋梗塞の救命率を上げるため生まれたシステムです。多数のモニター、医療機器、人員が配置されています。急変時の処置が可能で、補助人工心肺の管理も可能です。看護師と医師が常駐しており、不測の事態にはすぐに対応できるようになっています。もっとも活躍するのは直流除細動器でしょう。テレビドラマで、倒れた患者さんにイケメンドクターが「電気ショックを!!」と叫んで使用しているあれですね。心筋梗塞の急性期には心室頻拍や心室細動などの致死性の不整脈が出現します。これは、そのまま処置をしなければ死亡につながります。不整脈が起きてすぐに直流除細動をかければ、ほぼ確実に救命することができます。これほど劇的に生と死を分ける手段もないと思います。心電図モニターで致死性不整脈が検出されれば、アラームがCCUに鳴り響きます。スタッフが不整脈を確認すれば、すぐに心臓マッサージが開始され、直流除細動器が準備されます。数分以内に除細動が行われ、患者さんは一命を取り留めます。致死的不整脈が頻回に起こる患者さんでは、麻酔薬を使用して眠ってもらい、胸には除細動器のパッチを貼ったままにして置くこともあります。

    ほかのモニターも厳重に見守られ、適切な対応が素早くおこわなれます。酸素化が悪ければ酸素を投与し、必要な検査を行います。それでも酸素化が悪い場合には、人工呼吸器の準備をします。血行動態が不安定な場合は、昇圧剤を使用したり、補助人工心肺の導入を検討します。急性期に冠動脈が再閉塞し、再度カテーテル検査を行う場合もあります。重症度の指標として、意外に重視されるのが尿量です。尿量が減れば循環動態に障害が起こっていることが想像されます。また、尿量が確保できなければ肺うっ血が引き起こされます。尿量減少時には利尿剤を投与しますが、十分に反応しない場合は人工透析を使用します。

    CCUでは指示どおりに安静にしてもらいます。心筋が壊死していますのでいきなり動くと、心不全をおこしたり、不整脈を起こします。時には心臓が破裂することもあります。このため、心筋梗塞発症当日はベッドで寝たきりで過ごしてもらいます。その後、数日かけて座位から立位、歩行と活動範囲を広げています。この時は、ワンランク活動性が上がるごとに自覚症状や血圧などをチェックする必要があります。例えば、座位になったとたんに急激に血圧が下がる場合や、歩くと胸が苦しくなるようならば、ステップアップは無理と判断されます。食事も最初は水分程度で、徐々に普通食に移行しています。もちろん、排泄も始めはベッド上です。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • UP通信 2016/5月号

  • 月報 「聴診器」 2016/05

    月報 「聴診器」 2016/05/01

    4月14日と16日に震度7の揺れが熊本を襲いました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。僕も岳父達が熊本に在住しており家屋が一部損壊したとのことでした。16日に迎えに行くついでに、水や食料を避難所に持っていきました。熊本で医師をしている友人たちにも援助のことを聞きましたが、16日の時点では物資は不足しているものの医療スタッフはある程度足りているとのことでした。現地の医療スタッフが不眠不休で奮迅の働きを続けてくれたようです。加えて、素早くDMATが入ったことでマンパワーの確保ができたことも大きかったようです。日本医師会のJMATも素早く立ち上がり、17日には活動を開始しています。宗像地区からは水光会病院の吉武先生班が現地にむかわれています。数々の震災を経て国全体のシステムも少しずつ進歩しているようです。当院では支援金のほか、エコノミークラス症候群の予防のためのフットマッサージ器10台を避難所に寄贈しています。

    21 心筋梗塞2 ④心筋梗塞の検査-治療 補助循環

    心筋梗塞と診断がついて、カテーテル治療を行うと半分以上の症例では安定した経過が期待できます。しかし、ここまでしても心臓動きが非常にわるいと血行動態を維持できず危険な状態のままの症例もあります。こんな時は、心臓のポンプ機能を補助する装置を使用します。

    比較的よく使用されるのは大動脈内バルーンパンピング(IABP)です。これは20cm x 1.5cm程度の細長い風船を大動脈に入れて行うものです。風船はチューブで体外の機械につながっており、心臓の収縮に合わせて風船が膨らんだり、縮むようになっています。拡張期には大動脈弁が閉じますが、この時に合わせてIABPの風船が素早く膨らみます。すると拡張期の血圧が維持できるようになります。拡張期の血圧を維持することは、脳の血流や冠動脈の血流を確保するために重要なことです。心臓が収縮して大動脈に血液が送り出される時には、素早く風船が縮みます。このとき、陰圧がかかるので心臓が楽に血液を送り出すことができます。風船の膨張収縮は心電図に同期させて行います。ポッコンポッコンと音がしますが、ほかの補助循環装置に比べて簡便に装着できるのが利点です。ただし、大動脈瘤があったり、大動脈弁閉鎖不全症大きいとIABPは使用はできません。

    IABPを挿入しても血行動態が維持できないときには経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用します。これはより本格的な装置で人工心肺に近いものです。大腿静脈と大腿動脈に太目のカテーテルを挿入します。静脈のカテーテルから血を抜き、脱血管からポンプ部に送られます。血液はポンプ部から人工肺に送られます。人工肺は細い中空のガラス管の集まりです。ここまで血液は空気から酸素を取り入れます。ここまでは黒い静脈血でしたが、ここから赤い動脈血になります。その後、送血管から動脈に血液が送られます。動脈には血液が逆行的に送られることになりますが、おかげで血圧が維持できるようになります。PCPSは非常に強力な手法ですが手技が煩雑で慣れてないと時間がかかってしまいます。ここをスムーズにできるのが一流病院と言っていいと思います。PCPSは原理上、心臓の収縮に対する負荷になりますので、心臓そのものの治療は別に行わなければなりません。また、足の血液を体外循環に回すので足の血行が悪くなるとがあります。出血や血栓症、感染症のリスクも上がります。スタッフがつきっきりで管理をする必要があります。それでも、PCPSはそのままでは亡くなってしまうような場合の切り札として使用されます。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • UP通信 2016/4月号

  • 月報 「聴診器」 2016/04

    月報 「聴診器」 2016/04/01

    今月で、心臓リハビリテーション施設UPが開設して一年がたちました。82名の患者さんにご利用いただきました。心不全、不整脈、心筋梗塞、大動脈瘤、弁置換術後など重症心疾患を有する方も多数参加していただきましたが、特に大きなトラブルもなく一年を乗り切ることができました。心臓リハビリテーションの効果は、ほぼすべての患者さんで得ることができました。特に、重症心不全の患者さんで効果が顕著だったようです。他の医療機関からも紹介していただきましたが、紹介元の医師もリハビリテーションの効果におどろかれていました。これも、支えていただいたみなさんのおかげはもちろんですが、スタッフの力によるものが大きかったと思います。

    当院のスタッフはみな勉強熱心で、やさしく、誠実な人ばかりです。皆が献身的に仕事をしてくれたおかげで、心臓リハビリテーションの成功があったと思います。素晴らしいメンバーと一緒に仕事ができることに、日々感謝をしています。

    21 心筋梗塞2 ③心筋梗塞の検査-治療 カテーテル検査

    心電図や心エコーなどで心筋梗塞と診断されれば、カテーテル検査を行います。カテーテル検査は細い管を血管内に入れて行う検査です。細い穴から造影剤を入れたり、圧力を測定したりします。急性心筋梗塞ではスワン・ガンツカテーテルというものをよく使用します。これは、静脈から挿入して、肺の血圧を測定したり、心拍出量を測定するときに使用します。重症例では血行動態を把握するために2-3日入れっぱなしの時もあります。冠動脈造影も行います。カテーテルの先端から造影剤を冠動脈に流して、レントゲンで動画を撮影する方法です。狭心症の時にも説明しましたね。心筋梗塞の時は冠動脈がつまっていますのでより慎重に行う必要があります。冠動脈入口に病変がある可能性もありますので、初めは大動脈内で造影剤を流して入口部を確認します。異常がなければ、左右の冠動脈にカテーテルを挿入して、造影剤を流し、多方向から撮影します。そこで、閉塞している血管がわかります。

    昔は、この段階でいったん検査を終了することもありましたが、最近ではほとんどの症例でそのまま治療に移行します。まず、カテーテルを少し太めのものに交換します。閉塞部位を有する血管にカテーテルの先を入れたら、細いワイヤーで閉塞部をつつきます。多くの場合は、閉塞したばかりで、閉塞の本体は血栓だったりやわらかいプラークだったりします。細いワイヤーでつつきますと閉塞部位を通過させることができます。閉塞部をワイヤーが通過しても病変部には高度狭窄が残ったままなのでこの部位を3-4mmの風船で広げます。術者は風船をしぼませた状態で病変部に運びます。そこで高圧をかけて風船を膨らまします。風船が広がれば、病変も広がってくれます。最近ではそのままステントいう金属製の網を入れることが、主流になっています。ステントは細く折りたためるようになっており、折りたたんだ状態で縮めた風船に装着されています。これを先ほどと同じように病変部に持っていきます。風船を拡げた後に、再び縮めて風船だけ抜くと、血管を広げるような形でステントが残るようになります。

    閉塞部の血栓があまりにも多い場合は、血栓吸引や血栓溶解剤を使用することもあります。また、病変部が複雑であったり、入口部にあまりに近い場合は風船治療は行わず、緊急バイパス手術をするときもあります。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • UP通信 2016/3月号

  • 月報 「聴診器」 2016/03

    月報 「聴診器」 2016/03/01

    先日、電気会社の方が訪問されました。電気料金の契約を変更したら電気代が安くなるとの話でした。九電からの依頼で訪問しているそうです。この会社の特殊な機器をつけると、リース代も含め今よりお得になるとのことで、すぐに契約書を書いてハンコを押すように言われました。感じの良い青年が丁寧に説明してくれました。すぐにハンコを押すのは抵抗があったので、妻に相談すると「怪しいから調べたほうがいいよ」と言われました。確かに、調べると九電とは全く関係ない会社で、古典的な詐欺の手口らしいです。恥ずかしながら、あまり疑っていませんでした。

    詐欺にはいろんな手口がありますね。親切そうな顔をしてうまい話をしてくるときは警戒しないとだめですね。

    21 心筋梗塞2 ②心筋梗塞の検査

    激しい胸の痛みや失神があれば心筋梗塞を疑って検査をします。心電図は必ず行う検査です。典型的には心筋梗塞を発症すると「ST変化」という所見を認めます。心電図は心房波と心室波で構成されます。波形にはそれぞれ名前が付けられています。心室波はQRSというスパイク状の部分とその後のST部分があります。心筋梗塞を発症するとまずはこのST部分で変化を認めます。多くの症例ではSTが上昇しますが、病変部によってはSTが低下することもあります。ST変化の誘導を見ると心臓のどの部分で心筋梗塞が起きているかをある程度推測することもできます。Q波を認めることもあります。これは心筋梗塞を発症して時間がたつと出てくる異常波形です。例えば心筋梗塞を発症して数日たって来院された場合はQ波を認めます。以前に心筋梗塞を起こした方が、再度心筋梗塞を発症した場合でもQ波を認めることがあります。不整脈の合併も心電図でチェックをします。心筋梗塞を起こすと心筋が不安定になり不整脈が出やすくなります。心室頻拍症など致死性不整脈が出ることも珍しくありません。下壁心筋梗塞では房室ブロックという、脈が異常に遅くなる不整脈が出ることもあります。

    胸部レントゲン写真では心筋梗塞特有の変化はありません。ただし、心不全の合併のチェックをする必要があるので必ず行う検査です。また、同じように激しい胸痛を伴う疾患、例えば大動脈瘤や気胸を除外する意味でも必要な検査です。

    心エコーでは、心筋梗塞を起こした部位の収縮低下を認めます。動かない部位の広さや合併症をチェックします。動かない部位が大きいと血流が滞り、左心室内に血栓ができることがあります。心筋梗塞の範囲が乳頭筋に及べば、重度の僧房弁閉鎖不全症を合併することがあります。心筋梗塞を起こすと心筋が非常に柔らかくなってしまいます。外側の心筋が崩れて穴が開けば心破裂を起こします。左心室と右心室の間の心筋が破ければ、心室中隔穿孔となります。心エコーでカラードップラーを使用するとこうした合併症がわかります。

    採血検査も行います。GOT GPT LDH CPKなどの心筋逸脱酵素が高値になります。これらの酵素は本来心筋内にあるのですが、心筋梗塞を起こすと心筋が溶けて、血中に出てくるのです。急性期には心筋トロポニンTという酵素が上昇しますので、これをスクリーニングに使用しています。また、肺塞栓や大動脈瘤などの、やはり激しい胸痛を伴う致命的な病気のチェックのために、D-ダイマーという血栓のマーカーも測定します。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • UP通信 2016/2月号

  • 月報 「聴診器」 2016/02

    月報 「聴診器」 2016/02/01

    専門医制度の改正にともない、日本内科学会もこれまでの「内科専門医」から「総合内科専門医」に変更することとなりました。数年前から移行処置で試験が行われています。僕は昨年受験しました。久しぶりに内科全般を勉強しなおしてみると、専門外の分野での進歩に驚かされます。試験は無事合格しましたが、今までの不勉強を反省するよい機会となりました。人間、安きに流れやすいものですね。

    21 心筋梗塞2 ①心筋梗塞とは

    前回までは狭心症の話をして来ました。極言すれば、狭心症の診断や治療は心筋梗塞の発症を防ぐことが目的です。狭心症で亡くなってしまう場合はほとんどありませんが、心筋梗塞は今でも10%が急性期に死亡する疾患です。たとえ、急性期を乗り切っても、心機能が低下し、生命予後は悪化してしまいます。

    冠動脈が狭くなってくると、心臓の筋肉を養う血液が不足し、狭心症となります。冠動脈がつまってしまえば、血液が流れなくなり心筋が壊死してしまいます。壊死した部分の心筋は動かなくなってしまいます。これが心筋梗塞です。心臓の壊死は血管が詰まって、だいたい30分後から始まり、8時間ぐらいかけて完成します。最初は小さな範囲の筋肉が死んでしまうのですがそれが徐々に広がっていくのです。その後、壊死した筋肉が取り除かれ、固い繊維に置き換わります。赤身の肉がスジに置き換わるのです。しかし、繊維は筋肉ではありませんから、心筋梗塞になった部分は再び動き出すことはありません。一度、死んでしまった心臓の筋肉は、血行が再開しても元には戻りません。つまり、心筋梗塞を一度起こしてしまえば、完治はしないのです。

    心臓のどの部分の筋肉がどれぐらい壊死するかは、詰まった場所と、再疎通までの時間によって決まります。末梢の血管が詰まり、すぐに再疎通ができた場合は壊死する心筋は少なく、予後もよいといわれています。反対に左前下行枝近位部がつまり、再疎通まで時間がかかったり、詰まったままになっていれば多量の心筋が壊死します。心臓の機能や体全体に与える影響も大きくなり予後は悪くなります。さらに根元の左冠動脈主管部がつまると心臓の3分の2以上が壊死してしまいますので生命の維持が大変困難になります。ここがつまると突然死をすることもあります。

    昔は、心筋梗塞の急性期の死亡率は40%と言われていました。治療法がすすんだ現代でも急性期の死亡率は10%程度と考えられています。心筋梗塞の死亡は急性期に集中しています。発症してすぐは、急激にポンプ機能が落ちるので血行動態が不安定になり血圧が下がってショック状態になることもあります。気を失うことも珍しくはありません。心筋梗塞の範囲が大きかったり、僧房弁閉鎖不全症や心室中隔穿孔などを合併すれば肺がむくんできます。これは肺水腫と呼ばれ呼吸困難を起こします。致死性の不整脈が起きることもよくあります。このため、病院に来る前に亡くなってしまうこともあります。壊死した心筋が破けてしまうこともあります。この場合はほとんど助かりません。

    心筋梗塞を発症すると、激しい胸の痛みを自覚します。痛みはピンポイントではなく、手のひら以上の広さがあり、肩に放散することもあります。冷や汗や恐怖感を伴うことも特徴です。胸の痛みははっきりせず、嘔吐や失神で発症する場合もあります。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

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