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聴診器

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月報「聴診器」3月号発行しました!

月報 「聴診器」 2018/03/01

平昌オリンピックは盛り上がりましたね。羽生結弦選手の演技やカーリングの活躍に胸を熱くした方も多かったでしょう。メダルを取れた選手はもちろん、メダルに届かなかった選手も含めて素晴らしい戦いでしたね。寒さが心配されていたオリンピックですが、とりあえずは無事に順調な運営だったようです。

日本もようやく寒さが一段落してきました。まだ、インフルエンザの流行は収束していませんが、春の兆しが見えてきましたね。

 

25 先天性心疾患①、正常の血液循環

 

今回からは、先天性心疾患について説明します。先天性心疾患は、生まれたときから心臓の構造に欠陥がある病気です。したがって、正常の構造について理解をしないとこの病気のことが分かりません。まずは、正常な循環について説明します。心臓には四つの部屋がありそれぞれ右心房、右心室、左心房、左心室と呼ばれています。血液は体に酸素を送り届けたあと、二酸化炭素を回収して、静脈血となり右心房に戻ってきます。血液は右心房から三尖弁を通って右心室に流れ、右心室から肺動脈を通って肺に行きます。肺で、二酸化炭素と酸素を交換し酸素の豊富な動脈血となったあと肺静脈から左心房に還ってきます。その後僧帽弁を通って左心室に運ばれ、大動脈から全身に血液が送られます。ここで大事なのは、右心房、右心室、肺動脈と言った「右心系」と、肺静脈、左心房、左心室、大動脈と言った「左心系」はそれぞれ独立していることです。右心系と左心系は同じ心臓でも、役割や血液の性状が大きく異なります。右心系では、二酸化炭素が多く酸素が少ない、比較的暗い色をした静脈血が流れています。また、右心系の圧力は15-30mHg程度までしかありません。これに対して、左心系では、酸素が豊富で二酸化炭素が少ない、真っ赤な動脈血が流れており、圧力も100-150mmHgぐらいあります。この、二つの血液の流れが混じらないように、心房と心室には左右を区切る壁があり、大動脈と肺動脈も交通がないようになっています。

ただし、これは成人の話です。発生の段階からいきなり、ちゃんとした構造が出来上がるわけではなく、生まれてくる直前まで、胎児の心臓は大人とは異なっています。おなかの中で胎児の心臓は血管からできてきます。血管の一部が膨らんで、部屋を作ります。そのうち、左右の心房心室を分ける壁ができてきます。生まれる直前には心臓はほぼ成人と同じような形なりますが、肺動脈と大動脈はつながっています。誕生前には、胎児は空気のない環境で暮らしています。肺で血液に酸素を取り入れることができません。そこで、必要な酸素は肺からではなく、胎盤から臍帯をとおして取り込んでいます。この臍帯血が胎児のおへそから入ってきて、静脈に合流します。ここで、酸素濃度が上昇した血液は右心房から右心室を経て肺動脈にいきます。胎児では、肺動脈と大動脈の間をつなぐ「動脈管」という血管がありますが、肺動脈に行った血液の大部分は動脈管から大動脈に流れ、全身に運ばれます。誕生後に産声を赤ちゃんが上げると、肺が広がります。このときに、動脈管も閉じて肺動脈と大動脈は分離されます。今後、肺動脈の血液が直接大動脈に流れることはありません。右心系と左心系がそれぞれ独立し、成人と同じ血液循環になるのです。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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