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聴診器

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月報 「聴診器」 2006/6

月報 「聴診器」 2006/6/1

なんだか5月は寒かったですね。ようやく暑くなったとおもったらもうすぐ梅雨です。どうも変な気候が続きますが、体調には気をつけてください。

 

6 心不全④不全の治療:慢性期

さて、利尿剤や強心剤を使用し急性心不全を乗り切れたら慢性期の治療へと移行します。古くは慢性心不全の治療も急性心不全と同じような考えで進められていました。「心臓の動きが悪いのであれば、良くすればいいじゃないか!!」との発想でさまざまな強心剤が開発されました。ホルモンの刺激剤や心筋内のカルシウム濃度を増やす薬などが次々に開発され大きな期待が寄せられました。しかし、望んだような結果は得られませんでした。投薬により、一時的に症状が改善するのですが、長期的には心不全が悪化してしまったのです。

この反省からわかってきたことは、「弱った心臓を無理やり動かしても長持ちしない」ということでした。無理やり動かせば、疲れるばっかりだったんですね。そこで「心臓の負担を減らして休ませたら、長持ちするんじゃないだろうか」と考えました。具体的には、血管を拡張させる治療が行われました。これが実にいい結果をもたらし、以後の心不全治療の主流となりました。これを、血管拡張療法といいます。

ところが、その後さらに新しい考え方が出てきました。心臓は体に血液を送り出すポンプの役目をしていますが、内分泌臓器としても働いています。さまざまなホルモンの影響を受けたり、自分からホルモンを出したりしているのです。心不全の病態についても、単に機械的不具合と言ったことだけでなく、ホルモンバランスの悪化との側面でもとらえられるようになってきました。そこで、心臓に対して悪い作用をもたらすホルモン(レニン・アンギオテンシン系やカテコールアミンなど)をブロックする薬が使用されました。これらの薬はすでに高血圧の薬として使用されているものでしたが、心不全についても劇的に寿命を延ばすことがわかってきました。

現在の慢性心不全の治療はこのような考えの下に行われています。予後を改善する薬としてはACE阻害薬、ARB、アルドステロン拮抗薬、ベーターブロッカーなどが使われます。これらの薬を使用する際、できるだけ血圧を下げて、心臓の負担を減らすことが大切です。ふらつきなどの症状がなければ、90mmHg以下まで血圧を下げて治療することもよくあります。利尿剤は、長期的には腎臓や心臓そのものに影響を与えるので、むくみ具合などを見ながら、必要最小限量で使用するようにしています。

心不全の治療薬は「高血圧の薬」として売られている場合が多いので、薬局でもそのように説明され、不思議に思っている方もいると思います。しかし、心臓病がある場合には、「心不全の治療薬」として飲んでいただいていますので、安心して内服を続けてください。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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