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聴診器

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月報 「聴診器」 2007/8

月報 「聴診器」 2007/8/1

 

やっと夏ですね。この時期には、急に暑くなったために脱水を起こす人が増えてきます。水分はこまめに、多めにとりましょう。

 

8 高血圧⑦ 高血圧の薬物治療

前回は高血圧治療の話をしました。治療目標は135/80mmHg以下。治療の基本は食事療法で、つまりは減塩です。減塩だけでは十分に下がらない場合や、どうしても食事療法が出来ない場合には薬物療法を行います。降圧薬の投与です。降圧薬の使用で血管や臓器の負担が減り、動脈硬化や臓器障害の進行を防げます。

ただし、降圧薬については様々な誤解があるようです。「飲み始めたら、一生飲み続けなければいけないでしょう?」とよく聞かれます。これは、半分正しく半分間違えです。確かに、薬の中には「飲み始めたら、一生飲み続けなければならない薬」もあります。たとえば、ある種の肝炎の薬がそうです。これは、薬を途中でやめると急激に肝炎が増悪するためです。投薬前よりも肝炎が悪化するのです。降圧薬を中止した場合も血圧が上がりますが、投薬前の血圧に戻るだけで投薬前よりも上がることはありません。もとに戻るだけです。また、短い期間でも血圧を下げておくほうが、血管が痛まず臓器障害も進みません。高血圧がある場合、①ずっと降圧薬を飲む、②一定期間だけ降圧薬を飲む、③降圧薬を飲まないで高血圧を放置する、の順に予後が改善されます。簡単にいえば、降圧薬を長く飲めば飲むだけ寿命が延びるのです。

血圧と降圧薬の関係は、日光と日傘の関係に例えられます。日光にあたれば、日焼けをしたり「しみ」が出来たりしますよね。日光は肌の老化を進めるからです。このため、ご婦人は日傘をさしお肌の若さを保とうとします。しかし、日傘をたたむとまた日が差してお肌を焼きます。出来るだけ日傘を長くさしている方が、肌が日光にさらされず白い肌を保てます。日光は高血圧、日傘は降圧薬、日焼けは動脈硬化にあたります。降圧薬を使ってできるだけ血圧を下げたほうが、血管の老化が防げるわけです。

副作用を気にされるかたも多いと思います。確かに、降圧薬による副作用はゼロではありません。しかし、その確率はかなり低く高血圧を放置することによる危険性よりはるかに低いのが事実です。また、ある薬で副作用がでても別の薬を使えば副作用がでないこともあります。降圧薬の種類は沢山ありますので、きっと副作用がなく効果的な薬が見つかるはずです。

もちろん、生活習慣の改善などで血圧が下がり降圧薬を中止できる場合もあります。降圧薬を飲むことはそんなに悪いことではありませんが、できるだけ薬を飲みたくないという気持ちもわかります。生活習慣の改善が徹底できれば、薬を減したり薬を中止したりすることは可能です。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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