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聴診器

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月報 「聴診器」 2010/02

月報 「聴診器」 2010/02/01

新型インフルエンザワクチンの接種の対象が広がりました。当院でも接種を行っています。ただし、一度新型インフルエンザに感染した人には必要ありません。また、65歳以上の高齢の方に対して、僕は強くは勧めていません。これまでの統計から言えるのは、新型インフルエンザは主に若者の病気だということです。感染者は圧倒的に子供や若者に多く、65歳以上のかたの感染は非常に珍しいといえます。また、少数ですがワクチンを接種した後に具合が悪くなった人も報告されています。ぼくは、65歳以上の方は、ワクチンを打っても打たなくても、寿命に差は出ないのではないかと思っています。

 

11 脳卒中⑧ 脳梗塞の治療

前回は脳出血の治療でしたので今回は脳梗塞の治療の話です。脳梗塞は血管が詰まってしまう病気です。血管が詰まってしまえば脳細胞が死んでいきます。大きな脳梗塞では脳がはれたり、生命維持の機能が損なわれたりします。したがって、大きな脳梗塞でも脳浮腫対策と全身管理が必要となります。脳は頭がい骨に囲まれていますので、腫れると骨に圧迫されてダメになってしまいます。特に後頭部の骨に脳が圧迫されると生命維持ができなくなります。治療ではグリセオールなどの脳浮腫治療薬を使用し、感染症や呼吸循環機能の全身管理を行います。

一度、脳梗塞を起こすと次々に脳梗塞を起こしたり、脳梗塞の範囲がだんだん広がってくることがあります。脳梗塞を起こす時には、血液が固まりやすくなっていたり、動脈のプラークが破れやすくなっています。このため、次々に血管の閉塞が起きるのです。脳梗塞の治療ではこの点を考慮して、血液をサラサラにする薬を投与します。へパリンという薬を使用するのが一般的です。また、急性期には血圧を高めに維持します。脳梗塞の急性期に血圧が下がりすぎると、血管が虚脱して脳梗塞の範囲が広がるためです。

脳梗塞を起こした場合、いっぺんに脳細胞が死ぬわけではありません。時間を追うごとにだんだんと死んだ細胞が多くなってきます。治療が開始した時点で、死んでしまっている細胞は救えませんが、血流不足による仮死状態の細胞は救ってあげなくてはいけません。最近では血管に血栓が詰まった場合に血栓を溶かす薬を積極的に使用するようになりました。この効果は劇的で、麻痺が完全になおったり、ほとんど脳梗塞の跡が残らないこともあります。ただし、この治療は脳梗塞の超急性期にしかできません。長時間たてば、死にかけだった細胞達は完全に死んでしまい、血行を再建しても細胞はよみがえりません。また、長時間たつと詰まっていた先の血管がもろくなっていますが、ここで、血行がよみがえると出血する可能性があります。これを、出血性脳梗塞と呼びます。大きな出血性脳梗塞は生命の危険をもたらします。

脳梗塞の長急性期は3時間といわれています。受診して、診断してから治療が始まることを考えると、発症して1時間以内に病院に行かなくてはいけません。麻痺などの怪しい症状があれば、夜中でもすぐに病院へ行くのがよいと思います。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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