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月報 「聴診器」 2013/01

月報 「聴診器」 2013/01/01

明けましておめでとうございます。今年の冬はじめじめした寒さが続きます。各地から寒波を知らせるニュースを見るとこちらも身が縮こまる思いがします。12月には千葉県でボートを練習中の高校生が突風で転覆し、川に落ちています。僕も学生時代はボート部でしたが、何回も転覆して水に落ちていました。それでも、僕らは、秋までしか船を出さなかったので、そんなに寒い思いはしていませんでした。今回のニュースを聞いて、「冬でも水上練習をしているんだ!!」と驚くとともに、身を切られるような冷たさを想像しました。全員無事に救出されて本当に良かったです。

 

16 不整脈2 ④脈が速い 心房細動

前回は脈が飛ぶときの病気を説明しました。次に多い症状は「脈が速い」ではないでしょうか。脈が速くなる不整脈には心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍症、心室頻拍症などがあります。しかし、前々回説明したように正常な反応として心拍が早くなることも多々あります。明確なラインはありませんが、脈拍が100以下では不整脈でないことが多いと思います。また、運動や喧嘩をしたときに脈が速くなるのは問題ないと思ってよいと思います。安静時に、時計の秒針の2倍以上の速さの脈であれば不整脈を考えたほうがよいと思います。

脈拍が早く、不規則であれば心房細動を考えます。正常では洞結節で放電が起こり、心房⇒心室と収縮します。心房細動では、心房内のあちらこちらで放電が起こっています。総じて一分間に300回ほど放電が起きています。これだけ頻回に電気刺激が来ると心房は収縮せず震えたようになります。これを「細動」と表現したのです。心房のあちらこちらで電気が起きますので、心室にはランダムに刺激が伝えられます。このため、心室は不定期に収縮し、脈がばらばらになります。

心房細動は動悸などの症状、心不全、脳梗塞を起こすことがあります。昔は、不整脈の薬を工夫して心房細動が止まれば、症状もなくなり、心不全も起こさなくなり、脳梗塞も防げて、患者さんが長生きすると考えられていました。ところが21世紀になって、不整脈の薬では予後は改善しないことが報告されました。不整脈の薬を投与すると、症状がおさまり、患者さんも医者も「心房細動が治療できた。これで脳梗塞の予防薬はいらない。バンザイ!!」と思って脳梗塞の予防薬を中止していました。ところが、心房細動はこっそり起きていることがあります。心房細動があっても症状がないことが、わりとあるのです。不思議なことに、同じ患者さんでも心房細動の症状がある時とないときがあります。結局、気づかないうちに起きた心房細動で脳梗塞が起きてしまうのです。この報告は、大きなショックをもたらしました。日本でも有名な医師がこぞって「その報告はおかしい。きちんとした研究を日本でやれば違う結果が出るはずだ。」と述べていました。しかし、日本で行った研究でも不整脈の薬で予後は改善されませんでした。心房細動にとって大事だったのは不整脈そのものの治療ではなく、脳梗塞の予防だったのです。

調査では心房細動の患者さんは年に約10%の確率で脳梗塞を発症します。脳梗塞の予防薬を飲むことで1%程度に発症率を減らすことができます。高齢者、糖尿病、高血圧、心臓病、脳梗塞の既往がある人などでは特に注意が必要といわれています。症状のコントロールに心拍数を抑える薬や不整脈の薬を使用します。薬が効きにくく、症状が強い場合にはカテーテルでの手術をする場合もあります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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