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月報 「聴診器」 2014/07

月報 「聴診器」 2014/07/01

サッカー・ワールドカップは残念な結果でしたね。順当な結果ではあったかもしれませんが、直前までの報道での盛り上がりで期待が高まりすぎたのかもしれません。4年後を視野に、まずはJリーグから応援しましょうか。

18 生活習慣 ⑥アルコールによる精神障害

健康に悪い習慣の代表がタバコとアルコールですが、両者には少し違う点があります。タバコは少量でも健康被害があり、長所は何一つありません。一方アルコールは少量であれば、やや健康に良いというデータもあります。また、気分を高揚させたりリラックスさせる作用もあります。一種の有機溶剤ですので、水には溶けない成分を含むことができます。このため複雑な味を醸しだし、食文化とも切り離せません。ただし、アルコールのほうが悪い点もあります。周囲を巻き込む点です。飲酒運転による事故はずっと続いていますし、アルコール中毒による家庭崩壊もしばしば耳にします。

アルコールによる健康被害といえば肝臓がすぐに思い浮かびます。ほかにも、糖尿病も悪化し、尿酸値と中性脂肪も高くなります。感染症に弱くなり、肺炎を起こしやすくなります。特殊な状態では胎児性アルコール症候群が挙げられます。妊娠中の飲酒により出生時に障害が出る病気です。小頭症や発達障害を特徴とします。もちろん、成人における多量飲酒は脳みそに悪影響を与えます。アルコールによる精神障害は意外と多いといわれています。

アルコールは依存性があるため、アルコール中毒になり、連続飲酒を繰り返し、酩酊状態が続きます。酩酊時に反社会的行為を繰り返したり、家庭内暴力を起こすこともあります。

多量飲酒を続けていると非酩酊時にも症状が出てきます。アルコールは分解時にビタミンBを消費します。多量飲酒を続けていると慢性的なビタミンB不足によりウェルニッケ脳症を発症します。ウェルニッケ脳症では短期記憶が著明に低下します。ひどくなると、今ここにいること、今行っていることを時間的に連続して認識できなくなります。脳はこの状況に対して無意識にストーリーを作り上げることがあります。次から次に虚偽の話を作り出し、自分自身もそれを信じ込んでしまいます。これは意識的に行われるわけではありませんので、虚偽の話をしているその瞬間には、作り話そのものがその人の現実となっています。この状態はコルサコフ症候群と呼ばれています。

アルコールが認知症を引き起こすことも知られています。ウェルニッケ脳症との区別はつきにくいのですが、典型的なコルサコフ症候群を呈さず、認知機能の低下が主のものはアルコール性認知症と呼ばれるようです。機序ははっきりとはしていませんが、前頭葉を中心に脳委縮が見られるのが特徴です。アルコール依存症の40%に発症し、逆に認知症患者の30%はアルコールに関連があるそうです。ひどい場合には寝たきりになります。

介護保険や福祉の書類審査をしていますと、アルコール性認知症のために介護を受けたり、入院をしている人は驚くほど多くいます。他の認知症疾患では、進行を遅らせる薬はあっても有効な治療法はありません。しかし、アルコール性認知症の初期では、断酒ができれば進行を予防できます。場合によっては改善することもあるそうです。しかし、残念ながら、アルコール依存のためか、断酒を行う方はほとんどいません。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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