• お気軽にご来院・ご相談ください。
  • FAX:0940-33-3614
  • 福岡県宗像市須恵1丁目16-19

聴診器

choushinki

MENU

月報 「聴診器」 2017/02

月報 「聴診器」 2017/02/01

今年は比較的暖かな冬だなぁと油断していましたが、1月後半からいきなり寒くなりましたね。インフルエンザも大流行しているようです。インフルエンザは指定感染症で、注意を要しますがあまり重篤な病気ではありません。今でこそ、タミフルやリレンザを使用しますが、本来は自然に治癒する病気です。肺炎や脳症を合併しない限り重症化することはありません。心臓病や肺疾患があれば重症化のリスクが高いのですが、一般の方はあまり過敏になる必要はないと思います。むしろ、肺炎や腎盂炎などのより重症度の高い病気を見逃さないことのほうが大事です。

23 心筋症2 ①心筋症とは

心筋梗塞や弁膜症が進むと心臓の筋肉がダメージを受けて心機能が低下してしまいます。では、それらの疾患が無ければ心臓の力が弱まらないかといえば、そんなことはありません。「心筋症」という病気があり、これによって心臓の力が弱まることもあります。

心臓というのは筋肉で出来た袋です。この袋が筋肉の力で縮むことによって血液を押し出しています。様々な原因でこの筋肉が弱くなると、縮む力も弱くなり、心臓の機能が損なわれてしまいます。心筋梗塞では血流不足になり心筋が壊死するために心機能が低下します。高血圧や弁膜症では心筋の過労によって心臓が弱ってしまいます。しかし、このような原因がなくとも、心筋自体が弱くなることがあります。この心臓の筋肉自身が弱っていく病気を「心筋症」といいます。心筋症は「特発性心筋症」と「続発性心筋症」に分けられます。「特発性心筋症」とは、特にはっきりした原因疾患が無いのに心臓の筋肉が弱っていく病気です。「続発性心筋症」とは、いろいろな病気、例えばサルコイドーシス症やアミロイドーシスなどが原因で心臓の筋肉が弱ってしまう病気です。「特発性心筋症」は、その形態的差から「拡張型心筋症」と「肥大型心筋症」と「拘束型心筋症」に分けられます。

拡張型心筋症はその名のとおり、心臓が大きくなっていく心筋症です。心臓の筋肉自身がダメージを受けて、収縮力が弱くなってくると、心臓は拡張を始めます、ここで注意しなければならないのは「拡張」と「肥大」の言葉の違いです。心臓の内腔が大きくなることは「拡張」と呼ばれ、心臓の筋肉自身が厚くなることは「肥大」と呼ばれます。拡張と肥大が同時に起こることもありますが、拡張型心筋症では拡張だけが起こり、肥大は起こりません。むしろ、心臓の筋肉は薄くなっていきます。一度、拡張が始まれば、弁膜症が悪化したり、心臓に無理がかかったりして更なる拡張を招きます。拡張型心筋症が進んだ患者さんでは、心臓の大きさが倍以上になり、収縮力が半分以下になったりします。拡張型心筋症が進行すれば、体に十分な血液を送れなくなり心不全状態となります。また、不整脈も頻発するようになります。脈拍は心臓の中に電気が流れることによって調節されていますが、心臓の筋肉がダメージを受けた状態では、この電気の流れが乱れて不整脈が起きやすくなっているのです。

拡張型心筋症ではなぜ心臓の筋肉が弱っていくのかあまりよく分かっていません。心臓の筋肉の感染症が原因であるといわれたり、遺伝的に心臓の筋肉が弱いといわれたりしています。また、その病態も、急速に進行するものから、徐々にしか進行しないものまで様々です。現在では、いろいろな原因による異常が、形態的には同じような異常をきたしてしまったものと考えられています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

発熱や風邪症状のある方は、来院前に電話でご連絡をお願いします。

お電話
WEB予約