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月報「聴診器」 2月号発行しました!

月報 「聴診器」 2019/02/01
年が明けて、インフルエンザが急増しました。1月の連休では、急患センターに1000人以上が殺到したそうです。当番やオンコールにあたった医師や看護師は大変だったそうです。
それでも、高熱が出て体がつらいなら医療機関を受診すべきでしょう。ただし、ほとんど熱も症状ない人が「流行っているので心配で受診した。検査をしてほしい。」と希望するケースが多々あります。これは無駄な受診です。熱や症状がない時点で検査をしても有用性はありません。この時点でインフルエンザ検査が陰性だった場合、インフルエンザでないのか、本当はインフルエンザなのに検査するタイミングが早すぎて陰性なのかの判別がつきません。無駄な受診は、本当に重症な患者さんの治療を遅らせるばかりか、受診者自身も感染にさらされることになります。不安だけで受診するのは避けた方が賢明と思います。

26 循環器トピックス⑤  心房細動のアブレーション
心房細動は、心房で異常な電気的興奮が持続する不整脈です。脈の乱れや動悸として自覚され、心不全や脳梗塞の原因になります。20年以上昔には、心房細動を抑制する抗不整脈薬の開発が盛んでした。確かに、優れた薬では心房細動が抑制され患者さんの症状も軽快しました。医師たちも、心房細動を薬でコントロールできれば、心不全や脳梗塞の発症予防につながると信じていました。しかし、そのことを確認するために行われた臨床試験で思わぬ結果が出てしまいます。AFFIRM試験では抗不整脈で心房細動をコントロールした群と抗不整脈薬を投与しなかった群で予後の比較を行っています。当初は、抗不整脈薬投与群のほうが脳梗塞は発症が低く予後がいいと予想されていました。ところが、AFFIRM試験の結果では抗不整脈投与群の予後が悪かったのです。衝撃的な結果でした。他にも同様のデザインの試験も行われましたが、同じような結果でした。詳しい解析を行うと、抗不整脈薬投与群で抗凝固療法をやめた症例で脳梗塞の発症が多かったようです。つまり、抗不整脈薬投与で自覚症状が改善し、さらに定期的な検査で心房細動が記録できなくても、心房細動はこっそり起きており、心房内に血栓を作っていたのです。この結果から、「長期予後の改善は抗凝固薬が必要。抗不整脈薬は症状の改善にのみ有効」との認識が広がりました。
近年、高周波カテーテルアブレーションによる心房細動治療が長足の進歩を遂げています。当初は、この手技は大変難しく治療成績も高くはありませんでした。このため、少数の施設でごく限られた症例にのみ行われていました。しかし、ディバイスが進化し、焼灼方法も確立してきたため成功率は上がっています。今でもむつかしい手技の一つですが、習熟した医師が増え、アブレーションができる施設も増えています。アブレーションによる治療は、抗不整脈薬に比べて根治性が高いこともわかってきました。
カテーテルアブレーションを行った群では脳梗塞の発症が少ないとする報告も増えています。当院の経験でも、心機能の改善や、心不全コントロールの改善が確認できています。ガイドラインでは、カテーテルアブレーション治療は「症状があり、抗不整脈薬が無効の場合」に奨励するようになっていますが、今後、心不全の改善や脳梗塞予防を期待しての適応が広がってくるように思えます。さらに、アブレーションをすれば抗凝固薬は不要になるとの意見も多くなっています。確かに説得力のあるデータがありますが、AFFIRN試験の衝撃を思い出すと、抗凝固薬を中止することにいささかの疑念を感じることもあります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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