• お気軽にご来院・ご相談ください。
  • FAX:0940-33-3614
  • 福岡県宗像市須恵1丁目16-19

聴診器

choushinki

MENU

月報「聴診器」10月号発行しました!

月報 「聴診器」 2022/10/01

今冬には新型コロナウイルス感染第8波が予想されており、インフルエンザとのツインデミックも憂慮されています。少しでも波を穏やかにし、死者を減らすためには積極的なワクチン接種が勧められています。10月からは、初回接種(2回目接種)が終わった12歳以上を対象にオミクロン株対応ワクチンの接種が予定されています。それでは、オミクロン株対応ワクチンって何でしょう?

従来の新型コロナウイルスワクチンは、従来株については感染予防や重症化予防に有効でした。しかし、オミクロン株に対しては、重症化予防効果はあるものの感染防御効果は十分ではありませんでした。これは、人体の細胞にくっつくS蛋白という部位の形が微妙に異なっていたため、従来のワクチンで誘導された抗体がうまくウイルスにくっ付かなかったためです。オミクロン株対応ワクチンではオミクロン株のS蛋白が作れるようなmRNAが半分入っています。このmRNAが細胞に取り込まれて、オミクロン株S蛋白が作られ、免疫細胞が反応してオミクロン株用の抗体が産生されます。実際に投与した研究によると、オミクロン株に対する中和抗体が、従来のワクチンよりかなり多く産生されたそうです。副反応は従来ワクチンと変わらなかったそうです。

なお、今回日本で導入されるのはBA.1対応ワクチンですが、アメリカではBA.5対応ワクチンが使用され始めています。現在のところ、この両者の差はわかっていません。

 

30 脳卒中2 ⑤脳梗塞その2

前回は脳梗塞の症状について説明しました。脳梗塞は脳の血管が詰まって脳細胞の一部が壊死してしまう病気です。血管の詰まり方にも種類がありますが、大きく動脈硬化性脳梗塞と心源性脳塞栓に分けられます。

加齢や高血圧などにより動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すれば、動脈の壁が厚くなり、内腔が狭小化していきます。プラークという脂の塊が血管の壁に出来ることもあります。血管のプラークが破けると血液がそこで固まり血栓を作ります。この血栓が大きければ血管が詰まってしまい、脳梗塞を起こしてしまいます。

心源性脳塞栓症は心臓でできた血栓が、血流に乗って脳に届き、脳の血管が詰まってしまう病態です。心房細動では、心房内で血液はゆっくり流れます。血液は流れていないと固まる性質がありますので、心房細動時の心房では容易に血栓を形成してしまいます。重症の弁膜症で人工弁置換術をした場合にも血栓を作ります。血液は異物に接すると固まる性質があるため、機械弁で血栓を作りやすい傾向があります。人工弁に大きな血栓が出来れば弁がうまく動かなくなって心不全を起こします。そこまで大きくはない血栓が出来れば、血流に乗って脳に運ばれ脳の血管をつめてしまいます。

少し変わった脳塞栓症もあります。足などの静脈で血栓を作ることがあり、深部静脈血栓症と呼ばれます。この血栓が血流に乗って飛んでいくと心臓から肺動脈へ流れ、肺の血管が詰まります。これは肺塞栓と呼ばれます。俗に言う、エコノミークラス症候群ですね。まれに、心臓に小さな穴が開いている人がいますが、この場合、静脈からの血栓がこの穴を通ることがあります。血栓が穴を通ると動脈に血栓が流れ、脳梗塞を起こすことがあります。これは奇異性塞栓と呼ばれます。

 上野循環器科・内科医院  上野一弘

発熱や風邪症状のある方は、来院前に電話でご連絡をお願いします。

お電話
WEB予約