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聴診器

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月報「聴診器」12月号発行しました!

月報 「聴診器」 2019/12/01
今年は例年になく秋が長い気がします。比較的早く夏の酷暑が去り9月にはすでに秋を感じていました。その後、11月になってもあまり寒くならず、冬の訪れも遅い気がします。それでも、やはり風邪やインフルエンザが増えてきています。当院のスタッフも時々体調を崩してしまっているようです。体調不良時には、できるだけ休んでもらうようにしていますが、その分検査などで患者さんをお待たせすることもあると思います。大変申し訳ありませんが、皆様のご理解をお願いします。

27 高血圧2-③
血圧が高い状態が続くと様々な臓器が障害を受けます。脳、血管、心臓、目、腎臓などがダメになってしまいます。まず、心臓について考えてみましょう。心臓は体中に血液を送っている大切な臓器です。心臓は筋肉で出来た袋になっていますが、心臓自ら収縮して血管に血液を送っています。このとき、心臓は血管の抵抗に対抗する形で血液を押し出しています。高血圧の人では血管の圧力が高いため、心臓は強い力で血液を押さなくてはなりません。また、循環血漿量が増えていますので、一回に沢山の量の血液を送り出さなければなりません。このため、高血圧症の初期では、少し心臓が大きくなってきます。普通、心臓の内径は男性で45-50mmぐらい、女性で40-45mmぐらいです。それが、5-10mmほど大きくなります。更に高い血圧が続けば心臓の筋肉が厚くなってきます。正常では心臓の筋肉は8-10mm程度の厚さですが、15-25mm程度になってしまいます。強い力で押し続けているため、心臓の筋肉が痛んできます。心臓の筋肉が痛んでくると、心筋が硬くなってきます。心臓は血液を送り出している臓器ですが、全身からの血液が流れ込む臓器でもあります。心臓が硬くなれば、血液が帰ってきにくくなり、少しの負担で体がむくんだり、息切れがしたりするようになります。これは心不全と呼ばれる状態です。特に高血圧では一見心臓の収縮が保たれていても心不全を起こすことがよくあります。これはHFpEF(Heart Failure with preserved left ventricular Ejection Fraction)と呼ばれています。心不全になると、歩いたり階段を登ったりすると息苦しくなるため、ゆっくりとしか動けなくなってってしまいます。また、肺がむくみやすくなるため、夜中に胸が圧迫されるようになったりもします。ここまでくると、予後は非常に悪く、5年後の生存率は、肺癌よりも悪いといわれます。また、心臓の中での電気の流れがおかしくなり不整脈がおきやすくなったりします。心房細動はその代表的なもので、脈がバラバラになる不整脈です。心房細動になれば、ますます心不全が悪化します。そして、心房の中に血の塊ができやすくなります。血の塊が脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞になります。
また、心臓の栄養血管である冠動脈も血圧の影響で劣化してきます。高血圧では動脈硬化が進行するため、冠動脈のあちこちが細くなってしまいます。冠動脈が非常に細くなれば、労作時に十分な血液を送ることが出来なくなり狭心症を起します。血管が詰まってしまえば、心臓の筋肉に血液が流れなくなり心筋梗塞を起こします。心筋梗塞が起これば、さらに心機能が悪化し、予後が悪くなってしまいます。
高血圧による心臓の障害は一方通行です。いったん悪くなった心臓はなかなか元に戻りません。しかし、心臓の障害はかなりすすまないと自覚症状が出現しないため、どうしても遅れがちになってしまいます。このため、症状のない段階から血圧をコントロールする必要があります。
上野循環器科・内科医院  上野一弘

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