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聴診器

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月報「聴診器」2018/2月号

月報 「聴診器」 2018/02/01

今期の冬は寒いですね。毎年、「今年は特に寒い」と言われる方もおられますが、昨年は寒い日が少なく、平均気温も高めでした。しかし、今年は平年を下回る気温の日が多く、厳しい冬となっています。そのため、昨年よりも血圧が高くなったり、心不全が悪化する方が多いように思います。寒波の影響は世界中で広がっているようで、洪水や交通機関のマヒも見られているようです。

血圧や心不全の悪化は、寒さだけでなく塩分の影響もあります。気温を上げるのはむつかしいので、減塩には今まで以上に熱心に取り組んでください。

24 心不全⑦  心不全の治療 その他

いろいろな心不全治療の続きです。

血管新生療法:血管内皮前駆細胞(EPC)や骨髄間葉系幹細胞などの細胞を使った方法と、血管内皮成長因子(VEGF)や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのサイトカインを利用したものがあります。この治療法は、心筋以外の血流障害、たとえば下肢の動脈閉塞などに対しては効果があることがわかっています。しかし、心臓については評価が分かれており、まだ確立されたものではありません。

心筋再生療法:上述した血管新生療法に似ていますが、目標が心筋細胞そのものになります。心筋梗塞や心筋症でだめになった心臓の筋肉は二度と元に戻りません。心筋再生療法はバイオテクノロジーを利用して、新しい心臓の筋肉を作ろうとする方法です。これにも骨髄間葉系幹細胞を使用したり、骨格筋芽細胞や胚性幹細胞を使用したりします。iPS細胞による 再生治療も研究されています。こちらも、まだまだ研究段階の治療法ですが、大きな期待がもたれています。

全置換型人工心臓:人工心臓には二種類あります。以前紹介したVASは補助的人工心臓と呼ばれ、弱った心臓に付け加える形で使用します。実際上、補助的人工心臓は一定期間しか使用できませんが、全置換型人工心臓は心臓そのものと交換する形で恒久的な使用を目指しています。アメリカが1950年代から開発を始め、Jarvik 7やAbioCorなどは臨床応用もされました。しかし、血栓症や感染症のために十分な生命予後が得られていません。日本や韓国でも開発が続けられています。

SGLT2阻害薬:糖尿病の薬の一つにSGLT2阻害剤というものがあります。腎臓に働き、糖の再吸収を阻害させることで糖尿病を改善させる薬です。この薬を使用すると、心不全が改善することがわかってきました。血圧も低下し、肝障害、高尿酸血症も改善します。腎保護作用もあるようです。多面的な良い作用を有する薬ですが、なぜ心臓が長持ちするかはよくわかっていません。今は、糖尿病の患者さんにしか使用できませんが、欧米では心不全患者さんにこの薬を投与する研究が始まっています。

ファブリ病という珍しい病気があります。先天的に特殊な酵素の活性が悪いため、臓器にゴミのようなものがたまってしまう病気です。古典的には、神経や筋肉の症状がメインです。しかし、一部の患者さんでは、心臓だけに障害が出ることがあります。この場合は、肥大型心筋症のような病態となります。最近は、ファブリ病で欠損している酵素を補充することで治療ができるようになってきました。肥大型心筋症の患者さんの中にはこのファブリ病が隠れている場合があり、もしファブリ病とわかれば、心筋そのものの治療ができます。残念ながらファブリ病の検査はどこの病院でもできるわけではありませんが、大学病院であれば可能です。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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