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聴診器

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月報「聴診器」5月号発行しました!

月報 「聴診器」 2018/05/01

5月18-19日にはアジア太平洋心臓病学会(APSC2018)に参加するため休診とさせていただきます。APSC2018は台湾で行われる国際学会で主にアジアの22か所の循環器学会が参加します。僕も演題を応募しましたところ、幸運にも採用いただきました。診療所から国際学会に発表することは少なく、大変名誉なことと喜んでいます。少しでも医学の発展のためになればありがたいと思います。休診期間はご迷惑をおかけします。皆様のご理解と励ましがあってこそ、学術的な活動ができると心から感謝しています。ただいま、発表の準備中ですが、英語力のなさに戸惑っています。

 

25 先天性心疾患③ 心室中隔欠損症

前回は心房中隔欠損症について説明しました。右心房と左心房のあいだの壁に穴が開いている病気です。心室中隔欠損症では右心室と左心室の間の壁に穴が開いている病気です。

正常では、酸素の少ない静脈血は右心房に還り右心室に入ります。隣の左心室には肺で酸素をもらった動脈血が満ちています。極端に言えば、上水道と下水道のようなものです。この二種類の血液が混じらないように、右心室と左心室の間に壁があります。この壁が「心室中隔」です。胎児の心臓には最初この心室中隔はありません。胎児期のおわりごろに徐々に壁ができてきます。ところがこの壁が不十分なまま生まれてくる場合があります。これが「心室中隔欠損症」です。心室中隔欠損症では右心室と左心室の間の壁に穴が開いていますので、両方の血液が混じってしまいます。普通は左心室のほうの圧力が高いので、左心室から右心室に血液が流れます。右心室には全身から還ってきた静脈血と左心室からの動脈血が流入します。右心房の入る血液量が正常より増えるわけです。増えた血液は右心室から肺へ流れ左心房に還ってきます。左心房に還ってきた血液の一部は再び右心室に流れ、残りの血液は大動脈に出て行きます。このため、肺の血流量は増大し血管がいたんだり、肺の血圧が高くなったりしてしまいます。また、体をめぐる血液量はやや減少するため、心不全を起こしたりします。

心室中隔欠損は比較的多い病気で、1000人に2人ほどの頻度で発生します。穴の大きさや位置によって症状に差が出ます。穴が小さい場合は、少量の血液しか左心室から右心室に流れませんので、肺や全身への負担は小さくなります。自然に閉じて、治癒してしまうこともあります。ただし、穴が小さく、手術の必要がないと判断された場合でも感染症には注意が必要です。抜歯などの手技では少量ですが菌が血液に混入します。心室中隔欠損があれば、心臓の中に乱流を生じ、菌が心内膜につきやすくなります。こうなると、抗生剤を投与してもなかなか治癒せず、弁膜症や動脈瘤を合併する事態となります。これは感染性心内膜炎と呼ばれます。穴が大きく左心室から右心室への血流が多い症例では出生時から重篤な状態になることもあります。一般的には肺血流量が2倍以上あれば積極的な治療を勧めます。

新生児や幼児で、心雑音がしたり心電図や胸部レントゲン写真で異常があったりすれば、先天性心疾患を疑います。心エコーを行い、心室中隔に穴を認めたり、血流検査で左心室から右心室への血流が確認されれば心室中隔欠損症の診断がつきます。その後、カテーテル検査などを行い、心臓の状態を正確に調べます。治療は、手術をして心室中隔の穴を閉じるのが一般的で確立された手技です。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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