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聴診器

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月報「聴診器」6月号発行しました!

月報 「聴診器」 2019/06/01

前回は令和最初の月報でした。新元号になって一か月がたちますが、意外にスムーズに慣れるものですね。社会やメディアも違和感なく「令和」を使用していますし、僕自身も特に不自由は感じていません。心配されていたシステム障害もなかったようです。役所で書類を審査する仕事もしていますが、提出された書類にもミスはほとんどありません。もっとも、平成生まれの息子たちは多少の違和感があるようです。

 

26 循環器トピックス⑦ デジタル

最近、流行りのものに人工知能やロボットがあります。コンピューターが将棋で人間に勝ったり、バク転ができるロボットが注目を浴びたりしています。医療界にも徐々にデジタル革命の波が浸透してきました。電子カルテやレセプトはもちろん、学会登録や文献検索もデジタル化しています。そして、医療の発展そのものにもデジタル化が大きな役割を果たしそうです。

医学は科学の一分野ですが、他の分野に比べて精密さに欠けています。医学者側の問題も指摘されていますが、なによりも関与するパラメーターが非常に多く、また人体の個体差が大きいことによります。近代以前の医学では、経験や思い込みによって治療が行われてきましたが、そのいくつかは今日では信じられないほど愚かな行為でした。瀉血や水銀信仰などはその最たるものでしょう。近代になり、数学的統計的アプローチがとられるようになり、やっと「治療」と呼ぶに値するものに進歩してきました。最近の大規模臨床試験による治療の検証は多くの進歩をもたらせています。臨床試験では背景因子を厳密に選択された症例で比較を行います。例えば心筋梗塞を対象とした研究の場合には、できるだけ他の疾患が無いような症例が選択されます。統計的には正しい方法ですが、研究の対象となれるような純粋な症例はごく限られた症例となってしまいます。臨床現場では併存疾患があったり、個人の事情があったりで、臨床試験の結果をそのまま適合できることはあまりありません。コホート調査や市販後調査を対象にした多変量解析は有効な方法です。これは、ある特定の集団を対象に長年にわたって調査を行うもので、年齢、性別、血圧、生活習慣、疾患名など多くの因子を登録します。最終的には死亡などの大きなイベントにどの因子が関与しているかを調べることができます。

これは、有益な方法ですが、因子が多くなると解析に必要な母集団が非常に多くなります。大きな研究では数万人を対象に調査を行います。しかし、もっと大きな集団を対象にすればより多くの因子での解析が可能になります。多くの因子の解析ができることで、個別の患者さんに最適の治療が見つかるかもしれません。つまり、国民全体のデータや治療法、疾患発生率や生命予後が分かれば医療の進歩と検証が期待できます。このためには、二つの要件が必要です。まずは、データや治療法を全国から集める必要があります。データの収集については、保険請求をデジタル化する方法が進んでいます。将来的には電子カルテを中央のサーバーに直結して、マイナンバーで個人を特定する必要があるでしょう。プライバシーの保護や電子カルテの規格の統一が必要ですが、技術的には可能と言われています。韓国などいくつかの国ではオンラインデータの解析からの研究が発表されています。もう一つは、膨大なデータを解析する技術です。多量のデータの解析には、人工知能を用いたビッグデータの解析が研究され、実用化のめども立っているようです。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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