• お気軽にご来院・ご相談ください。
  • FAX:0940-33-3614
  • 福岡県宗像市須恵1丁目16-19

聴診器

choushinki

MENU

月報「聴診器」2月号発行しました!

月報 「聴診器」 2026/02/01

前回の月報では「今年は暖かいですね~」などのんきなことを書いていたら一気に寒くなりました。1月中旬には高圧洗浄で掃除をしたのですが、全身ずぶぬれになり体の芯から冷えてしまいました。すいません、冬を甘く見ていました。

 

34書評 ⑨ 「まんが 医学の歴史」(茨木保著)

今回取り上げるのは、茨木保さんによる『まんが医学の歴史』です。著者は現役の産婦人科医であり、「ドクターコトー診療所」や「コード・ブルー」など数々の医療ドラマの監修を務めてきた医師でもあります。

本書は、古代文明における医学の萌芽から始まり、中世における生理学や微生物学の発展、解剖学と外科的処置の進歩を経て、近代医学の成立までを縦糸として描いていきます。さらに分子生物学や移植医療にも触れ、最後は産婦人科医らしく生殖医療の話題で締めくくられます。医学史を断片的な知識ではなく、「物語」として理解できる構成が、本書の大きな魅力です。

登場するエピソードには有名な話も多く含まれていますが、僕自身も初めて知る人物や逸話が数多くあり、正直なところ大変勉強になりました。医学の進歩が決して一直線ではなく、試行錯誤や失敗、時には誤解や偏見を伴いながら積み重ねられてきたことが、まんがという形式によって生き生きと伝わってきます。

本書の中で特に印象に残ったのは、ゼンメルワイスによる消毒手技の確立です。当時、出産後の産褥熱による死亡は大きな問題でしたが、微生物学は未発達で「感染症」という概念すら存在しない時代でした。そのような中で彼は、「不潔な医師の手こそが産褥熱の原因である」ことを突き止め、手洗いを中心とした清潔手技を導入します。しかしその主張は権威ある医師たちの理解を得られず、彼自身は孤立し、やがて精神に失調をきたしてしまいます。それでも彼の仕事は後世に受け継がれ、消毒法の発展へとつながり、手術後感染死を大きく減らす礎となりました。

本書はこの逸話に象徴されるように、微生物学の発展、外科的手技の進歩、麻酔法の確立にも多くの紙幅を割いています。内科医である僕には、外科系医師たちが命を救うために積み重ねてきた試行錯誤と矜持が描かれていると感じました。

本書が刊行されたのは平成19年で、すでに20年近くが経過しています。その後も医学・医療は目覚ましい進歩を遂げました。茨木先生はiPS細胞をテーマにした書籍の監修も手がけておられていますので、ぜひ令和版「続・まんが医学の歴史」を読んで見たいですね。

僕は本書を、医学を志している知り合いの子どもたちによく贈っています。一応、自分の子どもにも送ってみたのですが、どうやら読んだ形跡はありません。少し残念です。この本を受け取ったほかの子どもたちは、どこかでページをめくってくれているでしょうか。

                     上野循環器科・内科医院  上野一弘

発熱や風邪症状のある方は、WEB予約をお願いします。

お電話
WEB予約