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聴診器

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月報 「聴診器」 2007/6

月報 「聴診器」 2007/6/1

 

先日、沖ノ島参拝に随行医師として行ってきました。沖ノ島は島そのものがご神体で、女人禁制の島として知られています。一般人も通常は立ち入り禁止ですが、毎年5月27日だけ参拝が許されています。島は古木にあふれ、儀式は簡素ながらも荘厳なものでした。

 

8 高血圧⑤ 高血圧と脳

今回は、高血圧と脳疾患について説明します。脳疾患の中でも、脳卒中つまり脳血管障害は血圧と密接な関係があります。脳卒中の一番の原因は高血圧なのです。以前、脳卒中は日本人の死因の一位でした。癌や心筋梗塞よりもはるかに大きな問題だったんですね。これは、東アジアに特有の現象で、欧米とは大きく異なる点でした。この原因が、高血圧にあると考えられ、国を挙げて高血圧の治療を行いました。その結果、脳卒中は激減しましたが、依然その発症率は高く、高血圧の主要な合併症として警戒が必要です。

脳卒中は、「脳血管傷害」といいます。脳の血管になんらかの傷害が起こり、脳自体に害が及ぶ状態です。具体的には、血管が破けることによる「脳出血」と血管が詰まることによる「脳梗塞」があります。

脳出血では、血管が破けもれ出た血液が、血腫という血の塊を作ります。脳は、頭蓋骨に囲まれた狭い場所にあるため、頭蓋骨の中に血腫ができればその圧力はどこにも逃げ場はなく、やわらかい脳を押しつぶします。脳のダメージが限局的であれば、麻痺やめまいが出現します。しかし、出血が多くダメージが、脳全体や生命維持を担当する部位に及ぶと死亡します。正常な血管は300mHg程度までの血圧に耐えられるといわれていますが、長年、高血圧にさらされた血管は動脈硬化が進みもろくなってきます。血圧が140mmmHg以上であれば脳出血を起こす可能性が高くなってきます。血圧を120mmHg以下にコントロールできれば、脳出血の可能性はかなり低くなります。なお、くも膜下出血は、血圧が低くても起こることがあり、血縁者にクモ膜下出血の方がいれば、脳ドックでの動脈瘤のチェックをお勧めします。

脳梗塞は血管がつまり、脳が血液不足になるために起こる病気です。脳の血管の一部が詰まると、それから先には血液が届かなくなります。血液が届かなくなれば、その脳細胞は死んでしまいます。死んだ脳細胞が右手を動かす細胞であれば右手が動かなくなり、口を動かす細胞が死んでしまえばうまくしゃべれなくなります。生命維持部位に脳梗塞が起こったり、脳の腫れがひどい場合には死亡することもありますが、脳出血と比べると死亡率は低いようです。血管が詰まる原因には、動脈硬化による場合と心臓から血液の塊が飛んでくる場合があります。血圧が高くなれば、動脈硬化が進み詰まりやすくなります。また、高血圧によって心臓の負担が増えれば不整脈が出現し血栓を作りやすくなります。どちらのタイプの脳梗塞も、予防には血圧のコントロールが大事になります。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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