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聴診器

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月報 「聴診器」 2010/07

月報 「聴診器」 2010/07/01

ワールドカップは良かったですね。予選リーグで3戦全敗と予想されていましたが、始まってみれば素晴らしい快進撃でしたね。深夜放送で寝不足の人も多かったのではないでしょうか。

 

12 血管病変 ④ 静脈瘤

血管には動脈と静脈の二種類があります。心臓から出てきた血液を末梢の臓器まで運ぶ血管が動脈です。血液は各臓器に酸素と栄養を届け、二酸化炭素と老廃物を受け取ります。これが静脈血となり、静脈をとおって心臓まで運ばれます。動脈血は、心臓の収縮する力で押し出されそのまま動脈を流れます。そのため動脈はただの管でも血液が流れます。しかし、静脈までは心臓の収縮力は伝わりません。その代わりに静脈では骨格筋を利用して血液が流れています。静脈の周りには筋肉がありますが、筋肉が収縮すると静脈を外から押す形になります。このままでは、血液は前後に動くだけですが、静脈には動脈には無い「弁」が付いています。この静脈弁があるために血液は、一方向に流れることができます。

静脈弁の閉まり方がわるいと、静脈血はスムーズに心臓に向かって流れなくなります。特に足では重力にさからって血液が流れなくてはいけないので、静脈弁の役割はより重要となります。足の静脈弁がうまく閉じなければ、血液は静脈に溜まってしまうことになります。この結果、足がむくむことになります。この状態を、深部静脈弁不全症と言います。また、静脈圧が高くなれば、血液は細い血管を流れていくようになります。本来、足の静脈血の大部分は足の奥のほうにある深部静脈を流れます。しかし、静脈弁の閉まりが悪い場合には、表面の細い静脈にも多くの血液が流れます。血流が多くなれば、血管はふくれます。表面の静脈は本来網目状になっていますので、拡張した血管はとぐろをまいた蛇のようになります。これが、静脈瘤です。

静脈瘤ができると、いろいろな症状が出てきます。深部静脈脈圧が高いことの反映なので、足がむくみやすくなります。静脈の流れが悪く、筋肉の老廃物がうまく流されませんので、足がつりやすくなります。静脈で流れが悪くなるので、血栓ができやすくなります。静脈瘤で血栓ができれば、痛みをともなう「血栓性静脈炎」となります。深部静脈で血栓ができれば「深部静脈血栓」となり、さらに足が腫れ、赤黒くなります。深部静脈弁不全でのむくみは、足を上げていれば軽快しますが、深部静脈血栓症では足を上げてもよくなりません。深部静脈血栓症では、血栓が移動して心臓をとおって肺動脈に詰まることがあります。これは、肺塞栓と呼ばれ命にかかわる病気です。長時間座っていると深部静脈血栓症ができやすくなり、肺塞栓を起こすことも多くなります。飛行機で移動中は長時間座った姿勢で、しかも機内は空気が乾燥しているのでより血栓ができやすくなります。いわゆる、エコノミークラス症候群ですね。大きな手術をしたあとも深部静脈血栓が起きやすい状況です。最近では、予防的に足のマッサージをしたりストッキングをはかせる病院も多いようです。

治療は、できた静脈瘤を抜き取ったり、薬剤で固める手術をします。最近では、レーザーで手術を行うこともあります。ただし、深部静脈弁不全症事態の根本治療は難しいようです。軽症では弾性ストッキングなどを使用します。

深部静脈弁不全症や下肢静脈瘤は女性に多いようです。また、遺伝性もあり家族内発生も多く見られます。ちなみに、僕も父も静脈瘤を持っています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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