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聴診器

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月報 「聴診器」 2011/09

月報 「聴診器」 2011/09/01

今年は熱中症が多かったです。多いときには点滴室が足りないほどでした。酷暑も一段落してからは感染症が多いようです。肺炎も少し増えた印象がありますので、皆様も気を付けてください。

 

13 検査 ⑨MRI

今回はMRIについて説明します。MRIの原理は非常に難しく僕もさわり部分しか理解できていません。以下の説明も非常に単純化したものです。すみません。

画像診断の相談をするときにMRIとCTを混同している方が多いような気がします。違う検査とはわかっていても「MRIはCTの上級バージョン」と思っている方も多いようです。確かにCTとMRIでは出でくる画像は似ています。CTが進歩してMDCTになると体の横断図だけでなく、縦切り画像や3D表示ができるようになったためますます似てきました。しかし、CTとMRIは全く原理が異なり、見ているものも違います。

MRIは核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)の略です。強い磁石を利用して画像を作る方法で、開発者のポール・ラウタバーとピーター・マンスフィールドにはノーベル賞が送られています。すべてのものは原子からできていますが、原子には磁性を持つものがあります。ただし、原子の向きはバラバラになっているので、物質全体としては磁性がありません。強い磁力をかけると強制的に原子の極性がそろいます。ここにパルス波をかけたり、異なる方向の磁場をかけると原子から信号が出ます。MRIではこの信号を解析して画像を構成しています。

どの原子を標的にしても画像は構成できますが、一般には体内に一番多い元素である水素原子を標的にして信号を取り出します。水素原子はその周りの環境に応じて信号の特性を変えますので、信号を解析することで質的な評価ができるようになります。信号の取り出し方にはいろいろな方法がありますが、T1強調画像とT2強調画像が代表的です。T1強調画像では水分が黒く写り、脂肪が白く写ります。T2強調画像では水は白く写り、骨は黒く写ります。

CTと比べるとMRIは質的診断が得意です。撮影したものの構造変化だけでなく、質的な変化もわかります。このため、腫瘍の成分や骨折、筋断裂、早期の脳卒中の診断に役立ちます。骨に邪魔されずに細かな組織を見れますので、骨に囲まれた臓器の検査に優れていています。たとえば脳下垂体腫瘍や聴神経鞘腫は骨に囲まれた部分に発生するためかなり大きくならないとCTでは見えませんが、MRIでは比較的小さい段階で発見が可能です。造影剤を使用すると血管が描出てきますが、造影剤を使用せずともある程度の血管の様子がわかります。動いている液体を鑑別できるためです。これを応用して、胆管の描出も可能です。

一方、強い磁力を使用するため金属が体に入っている場合は使用できません。金属プレートやペースメーカーは当然ですが、入れ墨やカラーコンタクトなども影響があります。検査中は細長い穴に入って行いますので、閉所恐怖症がある人も検査に不向きです。今はかなり改善されましたが、検査中はかなり大きな音がします。CTよりも時間がかかりますので、動いている臓器はきれいに画像が出ません。肺などはCTのほうが綺麗に見えるでしょう。

何でもかんでも、CTよりもMRIが優れているわけではありません。目的に沿って検査法を選んでいます。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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